4. 何が見えるか |
さて、前置きはこのくらいにして、このパンフレットの本題へ入るとしよう。 <環に結ばれた縄>というのは、縄の両端を結んでひとつの環にした状態である。 縄が両端のままになっているとしたら、結ばなければできあがらないということである。 誰がそれを結ぶか。 書き残された手記と言っても、所詮はひとの書いたものである。 あたりまえのことが書かれているとは限らない。 その点、演劇というのは、眼の前で現実的な表現が行われるだけあたりまえが存在すると言える。 今回、演目として上演するのは、『平成墨東奇談』という小説の一場面を舞台化したものである。 参考として、その一場面に至るまでの小説の描写を以下に掲げる。 少し長いので、場面の背景を必要と感じない方は、直接、観劇の方へ行って頂きたい。 |
月岡芳年 『奥州安達ケ原ひとつ家の図』 (1885年 明治18年) |
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