終章 ペガサスの飛翔 そこは、窓から差し込む月の光が映し出す、広々とした部屋にありました、 部屋に置かれているものと言えば、中央には、純白の絹のシーツが敷かれた大きなベッド、 壁には、複雑な装飾に飾られた額縁に納められた、等身大の大きさの絵画があるだけでした、 一之瀬由利子が<自室>としていた部屋でした、 艶やかで長い黒髪の艶麗な美しさに縁取られた、清楚な顔立ちの高貴な美しさをあらわして、 一之瀬由利子は、一糸も着けない優美な全裸の姿態を床の上へ立たせていました、 その前には、生まれたままの全裸を<亀甲縛り>の縄掛けを施された、 縄で数珠繋ぎとされている、四人の女性がありました、 月明かりのある夜だけに行われる、独特の<亀甲縛り>という縄掛けは、 掛けられた縄が作りだす菱形の紋様が増えていくに従い、上半身の肉体への刺激に加えて、 女性をあらわす割れめへもぐらされている縄が張力を強めて、 股間にある女芽と陰唇と肛門を刺激されるという官能は、高ぶらされるばかりにあることでした、 それは、縄の意匠がしっくりとはまり込んだときには、 股間に掛けられている麻縄は、割れめへ埋没させられた縄を中央にして、 腰付きの左右から下ろされた縄がそれを挟むような具合に通されていることで、 三筋の縄が女性の官能をひたすら絶頂へ向けて押し上げる効果をあらわしていることにありました、 四人の女性は、一之瀬由利子の前へ、後ろ手に縛られた裸身を跪かせて頭を垂れ、 両眼を閉じて祈祷を捧げる仕草を執っていることにありましたが、 その俯かせた顔立ちは、官能の高潮が両頬を赤く染め上げて、 唇を半開きとさせながら、甘美なため息をもらさせていたことで明らかとされていました、 一之瀬由利子は、ゆっくりと、左端に跪く、脂肪のついた、ふっくらとした身体付きの女性へ近付くと、 その両肩へほっそりとした両手を置いて、立ち上がるように促しました、 立ち上がった女性は、年配を感じさせる顔立ちの表情を官能の快感に酔わされているようにさせて、 その思いをもたらしてくれた相手を眼の前にして、感謝のまなざしで見やるのでした、 一之瀬由利子は、緊縛された裸身を引き寄せると、おもむろに、唇を重ね合わさせました、 年配の女性は、一瞬、びっくりしましたが、拒否する素振りをあらわすことはありませんでした、 ふっくらとした柔和な感触は、のぼせ上がらせていた官能を一気に焚きつけて、 頂上まで、あと一歩というところまで押し上げさせたことにあったからでした、 思いを寄せる相手から成される、口づけの愛撫は、 心地のよい官能をいっそう掻き立てられていくことになるばかりでした、 重ね合わされた相手の綺麗な唇が強く弱く押し付けられ、 左右へ柔らかく擦られていくと、ついには、年配の女性の唇も開き加減となり、 のぞかせた舌先を口中へ差し入れられてきたときには、 女性も、ついに、行かされることにあるのだという思いにありました、 胸は高鳴り続けて、ぬめる舌先の甘美な感触は、 含みたいと求めるものでしかなかったことにあったのです、 うねりくねり、もつれ合わされる、舌先と舌先の愛撫は、執拗に、熱心に続けられましたが、 股間へ掛けられた三筋の縄へとめどもなくあふれ出す女蜜を意識させられたとき、 これ以上の先は頂上へ行くしかないという官能の高ぶりを女性が感じたことは、 双方の太腿を這い上がる快感の痙攣を股間へ集中させられて、 絶頂を極めさせられたことにありました、思わず、唇を離させた、女性は、 緊縛された姿態をびくっびくっびくっと震わせながら、女神様〜 と叫んでいました、 その大声には、数珠繋ぎに繋がれた、跪く三人の女性にも、 これ以上は、耐えられないという官能の高潮からは、 女神様からもたらされる、快感と喜びと幸福の頂上は、求める以外にないものにありました、 一之瀬由利子は、当然のありようとして、 三人の女性に対しても、同様の口づけを行い、望むところの領域へ開放が成されたのでした、 四人の<亀甲縛り>を施された女性が絶頂を極めさせられた官能に打ち震えて、 床へくず折れさせた姿態を悩ましく身悶えさせているありさまがあらわされたことでしたが、 一之瀬由利子にとっては、永遠に終わることのない流浪・放浪・彷徨において、 ひとつの過程にあることに過ぎませんでした、 一之瀬由利子は、壁に掛けられた、等身大の絵画を見つめていました、 大きな翼を開いた白いペガサスが満月の光に映し出されて天空を飛翔している姿、 そのペガサスには、生まれたままの全裸をあらわす優美な姿態にあるみずからが跨り、 艶やかで長い黒髪の艶麗な美しさをなびかせて、 清楚な顔立ちの高貴な美しさに毅然とした表情を浮かばせ、 手綱を取っているありさまが描かれているのでした、 その意思は、高ぶらされる官能から、 想像の天空を宇宙の星となるまで飛翔するものとしてあることがあらわされていました。 ペガサスは、ギリシャ神話にあらわれる動物です、 その誕生は、ペルセウスがメドゥーサの首を切り取ったとき、 血が大地へ滲み込んで、そこから翼の生えた天馬ペガサスが出てきたとされています、 アテーナーがペガサスを捕まえて飼い馴らし、ムーサの女神たちへ贈ったことにあります、 日本民族の一之瀬由利子へ贈られたことではないことは確かです、 しかし、ペガサスは、象徴としては、霊感・不死・教養・名声とされてきたことにありますから、 一之瀬由利子に与えられたことにあったとしても、不思議はないことです、 何故ならば、日本民族の想像力は、 縄文時代の一万三千五百年間に育まれた、<結びの思想>に依ることにあるからです、 縄を扱うことによって培われた<結びの思想>という思考方法がDNAとしてあることは、 遺伝情報の割合は、およそ15%である、という研究成果が発表されていることから想像できることです、 <結びの思想>とは、縄があらわす二重螺旋の形態から、蛇を連想させることを伴って、 異化・変化・昇華という思考作用を行うことにあります、 日本民族、その定義を言うとすれば、地球上のいずれに居住していようとも、 <結びの思想>である異化・変化・昇華の思考作用を行う者にあるという意義以上のものにはありません、 日本民族が現状にある日本国という隷属体制的国家を脱構築するためには、 <結びの思想>である異化・変化・昇華の思考作用を行う者が多種・多様・多義を表現すること、 国家があらわす一義に対しては、それ以外には、あり得ないことにあります、 それが可能とならない現状であれば、ひたすら、大東亜・太平洋戦争の敗戦を分水嶺とした、 それ以前の国家体制を理想とする一義的な価値観へ復古することしか成し得ないことにあります、 表現は、<見せ掛け>と<内実>を持っていることは、 国家の<見せ掛け>が<内実>と整合性的にある表現であるかは、常に、問われることにあります、 男女の性交以外は、生産性のない性であるという見解は、 国家が何を目的として存立していることにあるかを問われていることが示されています、 国体と称することが単なる人口の増大を意義することにあるならば、 生産性のない性にある者は、国家の目的と相反する存在でしかあり得ません、 生産性という意義が生殖を言うだけのことにあるならば、 高齢者の増大も同様の事態をもたらしていることは同様としてあるのではないでしょうか、 人間は多種・多様・多義にあるという認識からは、 現状にある人類の総体人口は増加傾向にあるという実態からすれば、 日本民族が人口の増大へ寄与することよりも、 日本民族の独自性である、<結びの思想>を発揮することの有用の方が優ると考えられることです、 人間は、生まれながらにして、それぞれに、身体、心理、身上等の異なったありように置かれています、 これが根源としてある以上、多種・多様・多義が生じるのは必然としてあることです、 多種・多様・多義にある人間がそれぞれに異化・変化・昇華の思考作用を行うことをすれば、 それが共生することにおいてのそれぞれの結び付きとなることがあり得ます、 日本民族は、<結びの思想>の実践の段階へ移行するべきときにあるのです、 しかし、天井があったのでは、ペガサスは、飛翔はおろか、天空へ舞い上がることさえできません、 天皇制という天井は、一義にある価値観をあらわす象徴としてあるということにおいて、 日本民族が自主・独立・固有の知覚をあらわす国民としての矜持を獲得するためには、 撤廃されることが求められることにあります、 天皇制の天井の下にすべての国民が一つになって生活する国家の幻想は、 すでに、大東亜・太平洋戦争の敗戦に依って打ち砕かれたものとしてあることだからです、 ありもしない天井を象徴と見ていることです、 戦後七十年余、現状の日本国家にあって、 未来を創り出す<日本思想>としてあり得ないことで明らかです、 日本国家の再評価・価値転換・脱構築が求められる、今にあるということです。 窓から差し込む月の光に映し出されて、 置かれたベッドには、水色の絹のシーツが敷き詰められていました、 そこへ横たわる生まれたままの全裸の姿態は、蒼白い光に浮かび上がる、美しいものにありました、 悩ましく身悶えを繰り返す、その姿態は、男性をあらわす立派な陰茎はそのままにありましたが、 顔立ち、髪型、乳房、腰付きの優美さは、女性の美が施術された存在にあるのでした、 二十歳になる、彼は、彼女にあることの少数者であるという孤独を抱えていましたが、 今は、女性の優美な全裸の姿態が麻縄で緊縛されているありさまを妖美と感じることに対して、 みずからの姿態も同様のありようにありたいという懊悩に置かれていることにありました、 毎夜、<自室>へ戻り、就寝の床へつくと、きまって繰り返される思いにあったことでした、 せめても、全裸の姿態となって、みずからが縄で縛り上げられる想像を逞しくさせるのですが、 陰茎は、もたげるだけて、激しい反り上がりをあらわすまでには至らなかったのです、 悶々とした日々が続く毎日にありました、 今夜も、<自室>の扉へ施錠をして孤独になると、 みずからの緊縛姿にある全裸へ思いを募らせることにありました、 しかし、貧相な想像力で何が考えられるのだろうという疑問は、結局は、 女性の全裸緊縛写真を見つめながら、みずからの陰茎を握り締めて、 快感の絶頂へ至るまでしごく以外には、納得させる方法はありませんでした、 放出が終われば、一時の強烈な快感であっても、耽溺するというわけにはいきませんでした、 やがて、孤独にあることの寂しさが募ってくると、思わず、窓の方へまなざしを投げ掛けました、 煌々とした満月を見ることができました、 それは、美しいと感じさせるものにありましたが、その月の光に映し出されて、 ベッドへ横たわる生まれたままの全裸の姿態をさらけ出せた、みずからのありさまというのは、 本当に美しいものとして眺められるものなのだろうか、 顔立ち、髪型、乳房、腰付きの優美さは、女性の美があらわされていながら、 男性をあらわす立派な陰茎があるという姿は、単なる異形があらわされている美しさではないのか、 と思った、そのときでした、 暗黒の天空に煌々と輝く満月を遮るようにして、 全裸の女性が跨った白いペガサスが大きな翼を開いて飛翔していくのが見えたのです、 それは、信じられない光景にあると感じたのも束の間、 大きな翼を開いた白いペガサスが窓辺にあらわれたことは、 驚愕させられる以外の何ものでもありませんでした、 しかも、その白馬に跨る女性が生まれたままの全裸をあらわす優美な姿態をあらわとさせて、 艶やかで長い黒髪の艶麗な美しさに縁取られた、 清楚な顔立ちの高貴な美しさに毅然とした表情を浮かばせながら、 彼・彼女の<自室>へ入ってきたことは、 想像を絶する事態にあるという困惑をもたらすばかりのことにありました、 窓辺に直立不動の姿勢を執った、その人物が女性をあらわしていたことは、 両肩から腰付きへ至り、両脚から足先までを包む、曲線の優美さにあって、 可憐な乳首をつけた、ふたつの美しい隆起をあらわす乳房、 陰毛を奪われていることで、ふっくらとした白無垢の小丘にあらわとさせている、 神秘を漂わせる深い割れめをのぞかせていることで知ることができることでした、 しかし、彼・彼女は、驚愕と困惑の思いにあって、 不安を伴った胸の高鳴りを感じさせられたのは、その女性が手にしていたものだったのです、 それは、麻縄の束でした、 問い掛けようにも、言葉をまったく失わせる思いに翻弄されるばかりのことでした、 取り結ぶ考えを与えてくれたのは、その美しい女性だったのです、綺麗な声音で語り始めたのでした、 私は、一之瀬由利子と呼ばれています、 私があなたの前にあらわれたのは、あなたが私を求めたことにあるからなのです、 あなたが縄で縛られたいという願望を抱き続けて、それが果たせないことであれば、 それが想像力の限りにおいて、あなたの限度にあることです、 一之瀬由利子は、その限度にあるとき、立ちあらわれる存在にあるのです、 高ぶらされる官能から、ペガサスに跨る、全裸にある一之瀬由利子の想像力の飛翔は、 制限・制約・制圧など一切あり得ないという意義において、 時間と空間を超脱していることにあるからです、 あなたは、私の述べること、私の行うこと、それに従うことによって、 人間であるからこそできる、 ひとりの性ある人間であるからこそ、成し遂げられる、 そういうことがあることを知ることになるのです、 地球上の動物世界において、人間が独自の進化の過程を遂げたというありようは、 他の動物が縛られている発情期を超克して、 性の解放へ至ったありように始まることにあります、 これは、人間の存在理由を構築する原点と言えることにあるのです、 性は、人間の存立そのものをあらわすということです、 しかし、現状では、心理的・身体的特徴を根拠とした問題としてしか扱われていません、 それは、国家の体制と制度が折々に存在理由を与えて来たという歴史にあらわされています、 根源的な事柄は、すでに、人間進化の最初の段階であらわされているのです、 発情期を超克して、性の解放へ至ったありようは、性を多種・多様・多義とさせたことです、 人間の存在理由を表現することにおいて、 制限・制約・制圧など一切あり得ないという意義があらわされるとしたら、 人類は、進化し続けなければならない動物にあるという存在理由が示されていることです、 人間における、想像力の可能という問題にあることです、 さあ、ベッドから起きて、私のそばまで来なさい、 未知の事柄が控えている、秘密の扉を少しでも開けてみましょう、 そのように言い終わると、一之瀬由利子は、麻縄の束を掲げるように示しました、 眼の前にあらわれた人物は、人間とは思えない、超越を感じさせることにありました、 神か魔物か、もし、神ならば、美しい女神でしかない、 女神から聞かされた言葉は、それまで考えたこともなかった事柄にありました、 最後の<秘密の扉を少しでも開けてみましょう>という言葉だけが意味を成すものにあったことでした、 彼・彼女は、ベッドから身を起こすと、言われるままに、女神のそばへ近付きました、 遠目で眺めていたときは、その美しさは、光り輝く存在にあると思えていたことにありましたが、 近付くに従って、その美が全裸にある体温と芳香を放っていることを意識させられると、 超越を感じさせる存在の威圧感は、思わず、その場へ跪かせたことにあったのです、 そのとき、彼・彼女の意味は失われ、一人の人間としてあることの自覚が主となることでありました、 その自覚を内職したとき、人間は、根源的な性の事柄の意義を理解したことに立ったのです、 縛りますから、立ち上がってください、 そのように言われたことは、人間には、もはや、恩寵の言葉としか聞こえませんでした、 最初の一本の麻縄は、ふた筋とさせられて縄頭というものを作りだされ、 その縄頭が首筋へ掛けられました、 正面へ垂らされた縄へ、首元から下腹までの五箇所、 首元、乳房の間、鳩尾、臍の上部、臍の下部に等間隔の結び目がこしらえられました、 それから、艶やかな太腿を開かせられると、 縄の残りは二筋として、陰茎と睾丸を左右から挟むような具合にして股間へ通され、 艶かしい尻の亀裂からたくし上げられました、 その際に、縄が肛門へはめ込まれるように瘤が作られたことにありました、 残りの縄が首筋にある縄頭までたくし上げられて引っ掛けられると垂らされましたが、 愛くるしい美貌をあらわす人間の顔立ちの表情は、 全裸をさらけ出せている羞恥と戸惑いと不安がないまぜとされているように、 両頬を紅潮させて、まなざしは、相手の縄さばきを追うばかりにありました、 続いて、二本目の麻縄が取り上げられました、ふた筋とされて出来た縄頭によって、 背後へ垂らされているふた筋の縦縄が背中の中央でまとめられていきます、 結ばれたふた筋は、左右へと振り分けられ、身体の正面まで持ってこられると、 左右からそれぞれに、首元と乳房の間にある結び目の間へ通されて、 再び、背後へ引かれるようにされていくと、そこには、綺麗な菱形があらわれるのでした、 菱形が残りの三箇所の結び目の間へ順次作られていくことは、 縄が肉体へ密着して圧迫される感触を生み出すことにあったことは、 人間の顔立ちも、揺らぐ心理の表情から一気に緊張をあらわすものへと変化することにありました、 乳房の間と鳩尾、鳩尾とお臍の上部の菱形を浮かび上がらせた、 二本目の麻縄の残りがなくなり、背後の縦縄へ縄留めがされたときには、 菱形が浮かび上がる度に、陰茎と睾丸を挟まれて股間へ通されている麻縄の張力も増して、 肛門にも微妙な感触を伝え出したことは、意識せざるを得ないことにあったのです、 三本目の縄が用意されて、ふた筋とされ、その縄頭が背中の縦縄へ結ばれると、 左右から正面へもってこられ、お臍の上部とお臍の下部にある結び目の間に菱形が生まれました、 残る縄は、それまでの縄と同様に背後で交錯されて、正面へもってこられると、 くびれた腰付きのあたりから、左右の艶やかな太腿の付け根まで下ろされて、 すでに掛けられている二筋の縄へ重ねられて、陰茎と睾丸を更に挟み込むような具合にされながら、 股間へ通されていくことが成されたのでした、 艶かしいお尻の亀裂から、しっかりと引っ張られて、たくし上げられたときには、 瘤縄は肛門へ押し込まれ、上半身の肉体を圧迫される縄の感触は官能を高ぶらせ、 もたげ始めていた陰茎を見事に反り上がらせていることにあったのでした、 人間は、そのありさまを女神に見られることの羞恥から、 波打つ黒髪を頬に掛けて、愛くるしい顔立ちを横に伏せるようにしていましたが、 臍の上部と臍の下部に掛けられた横縄と背中の縦縄の交錯へ結ばれた残りの縄は、 それまで、垂らさせていただけの両手を背後へまわすように求められることにありました、 人間は、言われるがままに、おずおずと両手を背後へ持っていくと、 両手首は重ね合わされて、後ろ手縛りとされたことにあったのでした、 <亀甲縛り>と呼ばれている縄掛けを施された、人間にあったことでした、 これは、あなたの官能を高ぶらせるという始まりに過ぎないことです、 あなたは、高ぶらされる官能から想像力を発動させて、 異化・変化・昇華という思考作用にある、<結びの思想>を発揮させることを行うのです、 あなたの存在理由は、あなたがみずから創り出すものにあるからです、 そのように言われて、人間は、<亀甲縛り>にある緊縛の裸身の縄尻を取られ、 水色の絹のシーツが敷き詰められたベッドへ横たわるようにさせられたのでした、 縄による緊縛によって込み上げさせられる官能の高ぶりは、 ベッドへ横臥する人間の陰茎を激しく反り上がるまでにさせていました、 崇める女神は、いつの間にか、部屋から消え失せていました、 窓から眺められる暗黒の天空に煌々と輝く満月があるだけでした、 赤々と屹立した陰茎の口からは、銀のしずくが尾を引き始めていたことは、 頂上へ到達するというのは、時間の問題にありました、 双方の太腿を這い上がる快感の痙攣を陰茎に集中させられて、想像したことにありました。 大きな翼を羽ばたかせて天空を飛翔するペガサスに、生まれたままの全裸の姿態をあらわとさせた、 一之瀬由利子が艶やかで長い黒髪の艶麗な美しさをなびかせて、 清楚な顔立ちの高貴な美しさに毅然とした表情を浮かばせて、手綱を取り、 アメリカ合衆国から購入された十七機のオスプレイの編隊の先頭に立って、 日本の上空を国会議事堂と皇居へ向かっている光景がありました、 その十七機には、生まれたままの全裸の姿態をあらわとさせた女性隊員だけが搭乗していました、 軍事行動の目的は、国会議事堂を占拠して、新たな国家を宣言することにあって、 旧来の認識を価値転換させるために、天皇制を撤廃して、皇居を新地とすることにありました、 多種・多様・多義にある人間として、<結びの思想>のDNAの基に、 新たな憲法を作り出して、日本民族が自主・独立・固有の知覚にあることをあらわす行動でした、 自衛隊と警察は、その造反に対して、部隊と警察官を派遣しました、 しかし、男性隊員たちは、女性隊員の生まれたままの全裸をあらわす姿を目撃して、 その美しさに感動を覚える以上に、全裸になってまであらわす日本民族の存在理由に対して、 制圧することは、とんでもないことであると認識することにありました、 男性隊員たちは、女性隊員の指揮下に入って、国会議事堂と皇居を占拠したことにあったのです、 此処から始まる、新しい日本民族の国家、 ひとりの女性であるからこそ、成し遂げられること、 その想像力の飛翔が答えとしてある問題としてあったことでした。 高倉真美は、今夜も、<自室>の扉へ施錠をして孤独になると、 あの方へ思いを募らせることをするのです……… ☆九つの回廊*牝鹿のたわむれ ☆BACK |