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祈 祷

神仏にその加護・恵みを求めて祈ること。 「大辞林 第二版」



<民族の予定調和>の広報担当者が帰った後、小夜子は、疲労と眠気を感じて、
柔らかなソファへ座ったまま、いつしか寝入ってしまった。
<説法>に対して、それほどに共感を抱かなかった小夜子にとっては、大して重要な事柄ではないだろうが、
語られた<説法>には少々厄介な問題があるので、彼女が寝入っているすきに、ここで触れておくことにする。
人間が行う言語による概念的思考というのは、整合性を求める属性を備えているものである。
何を考え出すかということは重要であるが、考え出したことをどのように取りまとめるか、
さらには、ほかの事柄とどのように結び合わせるか、その帰結が納得のいくことであることが最重要なのである。
その帰結に納得のいかないもどかしさがあれば、それは、場合によっては、
親子、兄弟、友達、恋人、民族、という人間同士の関係のもどかしさにあっては、殺人・殺戮にまで発展する。
生においては、死はその納得のいく最大・最高の帰結と考えられているからである。
従って、<起承転結展>という新しい物語作法が示されたからと言って、音楽の交響曲形式においても、
常套とされる四楽章が五楽章になったからと言って、コーダをどのように結ぶかということが問題であるように、
岩手伊作氏によって語られた<説法>において、
軽井沢の別荘から、権田孫兵衛老人と雅子様が手を取り合って果たした逃亡のその後は、不明として終われない。
もし、それが不明なまま放置されることになれば、次の事柄は疑問視されるだけのことになるからである――
こうして、<導師様>と<雅子様>は、
いまだに、苦難の道にある<民族の予定調和>の伝導を続けられていくのであったが、
<導師様>と<雅子様>が精進された縄による緊縛生活から、
<縛って繋ぐ力による色の道>が大成していったことは、
文字通り、おふたりの<縛って繋ぐ力>によるものだったのである。
――<民族の予定調和>の根幹である<縛って繋ぐ力による色の道>の大成に関わることであれば、
権田孫兵衛老人と雅子様の逃亡の顛末が明らかとされなければ、不明を鵜呑みにしろと言うのと同じことになる。
雅子様は金銭で買われた生贄であった、それを奪って逃亡させたとなれば、女郎の足抜きのようなものである。
金銭で買った側にしてみれば、ただで済ませられる事柄では当然ない、逃亡の代償が要求されることであるし、
賢明な読者の側からも、論理的な顛末が語られなければ、納得できないことであるばかりか、
年齢こそ三十歳なかばと若さみなぎることではなかったとしても、むしろ、年増特有の色艶が発揮されるだけに、
華族の奥様で品性のある清楚で美しい顔立ちと優美な姿態を持った雅子様が被虐に晒されることであれば、
岩手伊作氏は、ことさらに描写を沈黙させたことであっても、鵜里基秀は、公平な思索からそうはできないことである。
ましてや、雅子様に行われた被虐の経過こそ、
<縛って繋ぐ力による色の道>の大成に多大の影響を与えたことだとしたら、尚更のことであろう。
ひとつの宗教が大成するために長い時間が掛けられることには、ひとつには、
語られた<説法>の論理性を明確としていく修正が歴史的に繰り返されていくことにあるのは確かである。
<何も疑わずに、信じることから始める>という盲信が前提とされる宗教でさえそうであるのだから、
最初から、盲信の前提のない、宗教性のある思想など、論理性が明確でなければ、信じる者は誰もいない。
ましてや、猥褻が基調となっている思想は、
はなから下品・下劣・下卑と言われる、いかがわしさを漂わせるものであるから、せめて、
猥褻の論理性だけでも明確に示されないことには、ポルノグラフィの荒唐無稽と変わらないものでしかなくなる。
以下に情報公開されるのは、
<民族の予定調和>における<雅子外伝>として伝えられている記述である。


『 花 の 変 異 ― 雅子外伝 ― 』 


この場合、変異とは、同種の生物の個体間にみられる形質の相違を意味することである。
花が美しい女性として喩えられるなら、
残忍執拗な蛇に取り付かれて、サディズム・マゾヒズムの性に目覚める花もあれば、
その変異もあるということである。


大東亜戦争も末期にあった頃、軽井沢にある豪壮な別荘で行われた裕福で地位のある者が集まる夜会で、
華族の奥様であった雅子は、夫が負債した金銭の身代わりとして、生贄の供物とならなければならなかった。
別荘の地下室にある舞台の上で、生まれたままの全裸を晒される、生贄のお披露目ということが行われたが、
生贄を思いのままに扱う権利を買い取ったのは、雅子の夫の実弟であった。
舞台にあらわれたその相手を知って、雅子は、大きな驚愕を感じながらも、夫が弟の罠に落されて負債させられ、
身代わりとなったみずからを金銭で公然と手に入れることを果たした、弟の卑劣な魂胆を悟るのであった。
かつて、兄弟から同時に求婚されたとき、兄を選んだことへの怨恨と嫉妬が原因であると思い至ると、
弟から陵辱されることを死ぬほどの恥辱だと感じて、舞台から逃げ出すほどになって拒むのであった。
幸いにして、<民族の予定調和>の伝導者である権田孫兵衛が舞台にあらわれて、弟からその身を救った。
だが、雅子が権田孫兵衛から救われたのは、その身ばかりではなかったのである。
権田孫兵衛があらわす全裸の女体へ施す縄の緊縛の驚異、
生まれたままの全裸を縄で緊縛され晒しものとされるだけで、女体は喜びの絶頂を極めるという超絶、
その実証の見世物として、雅子は、ほかに差し出された全裸の美女四人とアクメ到達の速さを競わされた。
全裸を縄で緊縛された美女五人があからさまにさらけ出された股間を横並びとさせて、
見守る観客の熱くただれたまなざしのなか、妖美な果肉の収縮できらめく花蜜をもれ出させながら、
縄による緊縛で女体を煽り立てられ、押し上げられ、よがり続けさせられて、官能を極めていくのであった。
雅子は、一番最後に、遅れ馳せながらに喜びを極めることができたが、それには理由があった。
舞台の見世物の後、雅子は、生贄として不特定の男性を待つために、部屋で全裸緊縛姿のままいさせられた。
雅子を食するためにあらわれた男性は、権田孫兵衛であった。
雅子は、嬉しかったが、このような場所にいる以上、権田孫兵衛も所詮は金銭で動くだけの男性でしかない、
そう思ったとき、泣きながら、相手を拒絶する言葉を叫ばずにはいられなかった。
しかし、権田孫兵衛は、雅子を縛り上げていた縄を解くと、ただ、部屋を出て行こうとするのだった。
そのとき、雅子は、権田孫兵衛の伝導している<民族の予定調和>というものを心から知りたいと思った。
雅子は、権田孫兵衛に告白するのだった。
舞台の上で、全裸を縄で緊縛されて到達させられた喜びの絶頂が教えてくれたことは、
生まれて初めて知ったこと、人間の官能は清冽なもので、
その最高潮は人間を超脱させる思いにまで至らせるものがある、そのことに目覚めさせられたことであった、
そして、いま、みずからは、権田孫兵衛の縄を必要としている女であることを知り、
されるがままのその縄の教えに従いたく、お慕いしている、終生、付き従う女であることを誓うのであった。
雅子のこの決心は、<民族の予定調和>の表象としてある女性の自覚をあらわしたものであることから、
権田孫兵衛は、あなたと私を待っているのは、<民族の予定調和>を必要としている方たちであり、
その方たちのために、ここを出ましょう、と答えて、ふたりは、豪壮な別荘を後にしたのであった。
それから、廃屋同然の下宿部屋で、ふたりの手と手を取り合った縄による緊縛の伝導生活は始まったのであるが、
穏やかな日は、三日と続かなかった。
権田孫兵衛の居所は、紹介していた陸軍大佐の知るところであったから、
最後に雅子を買い取った、生贄の所有者である財界の大立て者の手配で、やくざ者が数人遣わされたのだ。
権田孫兵衛が伝導に出かけているすきを狙って、部屋でひとり待っていた雅子を拉致したのである。
この場合、足抜きを引き戻されたと言った方が正しいかどうかは、これから先へ展開することによる問題である。
下宿に戻った権田孫兵衛は、部屋が取り散らかされて、雅子が失踪したことを知ると、
買い取った者が奪い返したことを理解したが、わずかな情報で、その行方を捜し続けるほかないことであった。
言うまでもなく、陸軍大佐との音信は、完全に遮断されていたのだ。
その頃、雅子は、貧相な下宿などとは比べものにならない、立派な屋敷へ連れ去られていた。
その屋敷は、財界の大立て者の別邸のひとつであったが、
やくざ者に管理を任せた<淫靡屋敷>と呼ばれている、監獄のようなものであった。
買い入れた女が立派に金銭を生むように、それぞれの目的にかなった調教が成されるところであった。
ここでは、女が処女を奪われるということは、生まれたままの全裸を縄で縛り上げられ、
被虐に晒された身の上にあって、尻が初めて犯されることでしかなかったから、乙女も夫人も関係がなかった。
美しく愛らしい女は、ものになる女として調教されるだけのことであったのだ。
戦時下という非常事態の帝都東京にあって、
このような場所が存在することは、需要供給という経済原則からすれば、
金銭を生むことは状況をまったく問わない、ということを明らかとしていることでしかない。
連れて来られた雅子夫人―そこでは商品は丁重に取り扱われたから、そのように呼称された―は、
屋敷にある大広間の中央へ、ひとりぽつねんと立たされているのだった。
その姿をぐるりと取り囲んで、十数人のやくざ者の男女がきちんとした正座の姿勢で眺めていたが、
取り仕切る<所長>である親分と財界の大立て者の秘書が床の間の前へ鎮座していた。
「見た目には、三十四歳には、とても思えない、若々しい風采の美しい顔立ちの女ではないか。
その着物姿にあるしっとりとした上品な様子は、さすがは、華族の奥様と言うところであろう。
身体付きが申し分なければ、使い道は幾らでもある、雅子夫人と言ったな、着物を脱いでみなさい」
<所長>は、でっぷりとした体格と同じくらいに重々しい声音でそのように言うのであったが、雅子夫人は、
立っているのもままならないくらいの不安と恐怖による緊張から、顔立ちをこわばらせているばかりだった。
「着物を脱いで、裸になれ、と言っているんだ」
親分の間近にいた鋭い男が強迫じみた声音で付け加えたが、それでも、行おうとしない夫人に対して、
顎をしゃくって合図をすると、ふたりの洋服姿の女が立ち上がって、夫人へまとわりついた。
雅子夫人は、ああっ、いやです、と思わずあらがう声音をもらしていたが、
激しい抵抗は示さずにされるがままになっているだけだった。
捕らえられたとき、雅子は、すでに覚悟を決めていたのである。
ほんのわずかの日々であっても、権田孫兵衛と共に歩むことのできた幸福は、
みずからを<民族の予定調和>の表象としての女性であるという自尊心を固めさせ、
将来実現されることのためにこそ、みずからは生き続けていく者であるという決意を抱かせた、
置かれた状況がどのように過酷なものであっても、耐え抜いて見せるという意志が秘められていたのだった、
そうした意志があってこそ、<民族の予定調和>への祈祷も、かなえられるものだと信じていたのだった。
ふたりのやくざ女によって、身に着けているものがすべて剥ぎ取られていくと、雅子夫人のあらわとさせた全裸は、
あたりを明るませるくらいに純白の柔肌を輝かせた、女の優美な曲線を見事にあらわした艶麗があった。
さらけ出させる女の全裸には、見慣れているやくざ者たちであったが、
潤いを放つ柔肌が芳しい女の色香の体臭を匂い立たせ、愛らしい乳首をつけた綺麗な形のふたつの乳房も、
ふっくらと盛り上がった夢幻の漆黒を漂わせる下腹部も、手で覆い隠すことようなことをまったくせずに、
直立させた姿勢で晒し、毅然とした美しい顔立ちを上げている様子には、驚きさえ感じているようであった。
それが一念の思いをあらわす、雅子夫人の自己顕示だったのである。
「顔立ち同様に美しく、見事な姿態ですわ、申し分ありませんわね。
でも、女は、外見だけでは、まだ、半分と言うところですわ、中身の方も宜しくないと」
雅子夫人の間近に立っていたやくざ女の年上の方は、そのように言うと、
おもむろに夫人の顔立ちを両手で捉えて、唇を突き出して押し付けてきた。
唇と唇を無理やり重ね合わされて、夫人は、驚き狼狽して、思わず相手を突き放そうしたが、
そのときには、すでに、もうひとりの年下のやくざ女が夫人のほっそりとした両腕を背中へ強引にまわさせ、
用意していた麻縄で、華奢な両手首を重ね合わせて縛り上げていた。
やくざ女の吸い付きは、唇が離されたとき、夫人になよやかな両肩で息をさせるほど激しいものであったが、
「まだ、唇を触れ合わせているだけですわ、お母さんと子供の愛情表現くらいですわね。
でも、雅子夫人の唇は、形が綺麗なばかりでなく、柔らかくてとろけそうに愛らしい、ということは証明されましたわね」
と話している間に、年下の方が後ろ手に縛り上げた縄の残りを夫人の身体の前へまわして、
ふたつの乳房を上下から挟む胸縄を施して、それが終わると言うのだった。
「奥様、畳の上へ横になってください。
奥様がどれくらい感度よく喜びの絶頂を極められるものであるかを見せてもらいます」
雅子夫人がたとえ拒絶を示したところで、左右からまとわりついたやくざな女たちは、
手慣れた素早さで、縄で緊縛された全裸の姿態を横たわらせていくのだった。
それと同時に、閃光電球付きの写真機を携えたやくざ者が立ち上がり、近くまで寄っていた。
畳へ仰向けに寝かされた雅子夫人だったが、股間の見える方が床の間へ向けられていたのは、
女の最も恥ずかしい箇所がこの場を取り仕切る人物たちに確認されるための配慮があった。
すぐさま、しなやかに伸びた綺麗な両脚の華奢な足首の双方がふたりの女によって取られ、
これ見よがしに大胆に割り開かれていって、あからさまにさらけ出されることをされるのだった。
こらえていた雅子夫人であったが、羞恥の中心をあらわにされて、思わず、ああっ、いやっ、と叫んでいた。
だが、それだけではなかった。
妖美な女の花びらと愛らしい芽と果肉の深遠と可憐な菊門があからさまに見て取れるように、
双方の足首には縄が結ばれ、それを天井の梁から垂れている鉄の環へ掛けられて引っ張り上げられると、
割り開かれた女の股間の箇所は、これでもかというほどに、あられもなくさらけ出されるのだった。
「ああっ、いやっ、いやっ」
雅子夫人は、柔らかな黒髪を右へ左へ揺り動かして、か弱い声音をもらさずにはいられなかった。
十数人のまなざしが一斉に向けられているばかりではなかった、冷徹なレンズのまなざしが見つめていたのだ。
それが生まれたままの全裸を後ろ手に縛られ胸縄を掛けられ人の字に吊り上げられた姿態へ閃光を放ち、
眉根を寄せて懸命にこらえる美しい顔立ちへ閃光を放ち、あらわとなった眺めのよい股間を撮影していたのだ。
「では、今度は、奥様が喜びの絶頂を極める、
艶めかしい顔立ちとそのときのあそこを撮ってもらいましょうね」
年上のやくざ女は、身に着けていた洋服を脱ぎ去ると下着だけの姿になって、ぴったりと添寝をしてきた。
夫人の顔立ちを両手で押さえて、無理やり自分の方へ向けさせると、唇と唇を重ね合わせてくるのだった。
今度は、すぐさま、尖らせた舌先で、閉じ合わせている唇を強引にこじ開けようとしていたが、
同じように下着姿になった年下の方が反対側へ添寝をして、縄で突き出させられた夫人の乳房へ触れていた。
雅子夫人は、女性からされたこともない口づけに、さらに、その熱烈な接吻のおぞましさに、
口中へ舌先を差し入れられるのを懸命に拒んでいたが、ふたつのふっくらとした乳房を丹念に揉まれ、
愛らしい乳首を舌先で舐めまわされるに及んでは、抵抗する唇も自然と開いていってしまうのだった。
女のもぐり込まされた舌先は、うねり、くねり、もつれるように、夫人の舌先へ絡められ、
その優しく強く繰り返される甘ったるい愛撫には、夫人も、おぞましさを官能と溶け合わされるようにされ、
次第にされるがままになっていくのであったが、もう一方の乳首を舐めまわされる愛撫も、
段々と口中へ含むものへ変わっていくと、強く吸われ、優しく転がされ、軽く歯を立てたりされることが、
顔立ちと胸部にうねる淫靡な律動となって、太腿の内側あたりさえも甘美に疼かされると感じさせられるのであった。
下半身を大胆に吊り上げられた姿態では、上半身の身悶えをすることがせいぜいであったが、
雅子夫人は、こらえていることが耐えられないというように、悩ましく緊縛の裸身をうごめかせ始めているのだった。
それが女の官能に火をつけられ、掻き立てられ、煽り立てられていくものでしかなかったことのあかしは、
眺める者の眼にあらわとさせた股間のありさまが見事に証明していた。
妖美な花びらを貞淑をあらわすように閉じさせて、女の亀裂を真一文字とさせていた箇所が徐々に膨らんでいくと、
きらめく花蜜がじっとりと滲み出してくるのだったが、冷徹なレンズは、絶好の機会として逃すはずのないものだった。
閃光電球がまばゆい光を放つ度に、夫人は、生きた心地のしない、激しい羞恥に戦慄させられていたが、
それも、ふたりのやくざな女たちによって高ぶらされていく官能の強烈な波に押し流されて、
どろっとあふれ出させる花蜜をその奥に鮮やかにのぞかせ始めた果肉の収縮であらわとさせているのであった。
口を塞がれたままの雅子夫人は、うん、うん、うん、とくぐもったやるせない声音をもらし続けていたが、
ようやく、綺麗な唇から執拗な唇が離されたとき、年上のやくざ女は、
夫人の官能にほだされている美しい顔立ちをじっと見つめて、思いを込めたように言った。
「いかせてあげるわ、遠慮しないで、声を上げていいのよ。
奥様の艶めかしい声音を皆様にしっかりと聞いてもらいなさいな」
それから、相手の下腹部の方へ体勢を変えると、見事に開き切っている股間へ顔を埋めていくのであったが、
あふれ出させた女の花蜜でぐしょぐしょに潤っている熱くただれた箇所を見て、
「凄いわね、接吻と乳房への愛撫だけで、こんなにも濡れるだなんて!
雅子夫人は、きっと淫乱な女なのね、根っからの色事好きの品性のある高貴な奥様でいらっしゃるのね」
と相手の耳に届く、大きな声音の感嘆の言葉を吐くのであった。
そして、その潤いにむしゃぶりついていくように、長い舌先を伸ばさせて触れていくのだった。
「ああっ、ああっ」
女の尖らせた舌先が愛らしい小突起を捉えて、激しく掻き出し、立ち上がらせようとしていた。
夫人のあふれ出させている花蜜は、その舌先のうごめきを勢いづけるようにさらにあふれ出し、
ぴちゃぴちゃと鳴る淫猥な響きは、ふたつの乳房へ執着している年下の女をも勢いづかせるものとなって、
胸と股間の双方から煽り立てられる官能は、夫人の火照った緊縛の上半身を悩めるように悶えさせていた。
「ああ〜、ああ〜、ああ〜」
抑え切れない、切なく、やるせなく、甘ったるい声音が大広間の隅々にまで行き渡るほどに上がっていたが、
雅子は、意志をしっかりさせよう、と試みなかったわけではなかった。
しかし、全裸を縄で緊縛された不自由な身の上で、勝手放題に身体をいじくりまわされて、
高ぶらされていく官能に懸命な抵抗の思いをあらわしても、身体がひとりでに反応していってしまうのであった。
そこで、乳房からおもむろに唇を離した年下の女から、優しく囁かれるように言われたことは、
それをもっともだとさえ思わせるのであった。
「奥様は、とても感じやすいのだわ、正真正銘の淫乱な女の素質充分というわけ。
でも、それは、女であれば、誰でも持っているというものではなくてよ。
奥様は、特別な方、これからのお仕事には、もってこいのお人柄ということですわ。
顔立ちも姿態も美しい奥様は、稀に見る淫乱女、それを皆様にじっくりと見てもらいなさい、
そして、奥様もみずからの本性をしっかりとお知りになりなさい。
雅子夫人は絶品である、と誰からも褒められることだとしたら、女として、光栄なことじゃないかしら?
違うかしら? 返事をして下さいな」
雅子にも、官能の喜びに隷属することを野卑で、はしたなく、下品なことであるという、
人間の尊厳としての品性の教育が施されていたから、稀に見る淫乱女であると決めつけられることは、
大きな反発を生む心理の擾乱であったとしても不思議はなかった、高ぶらされる官能の快感の実際は、
それが導かれていく先である<喜びの絶頂>を<淫乱女>であるという意義と同一なものとさせているのだ。
ところが、すでに、華族の奥様を剥奪されて生贄とされた雅子には、品性の教育の反発は希薄であった。
権田孫兵衛の縄による緊縛で遂げさせられた喜びの絶頂が教えたことは、
人間の官能は清冽なもので、その最高潮は人間を超脱させる思いにまで至らせるものがある、ということだった。
いま置かれている状況は、不本意なことに違いなかった、
ふたりの女によって高ぶらされていく官能において、それは望んで行われていることではなかった。
だが、実際に感じている官能の快感において、それは、みずからが発揮しているものであることに相違はなかった。
奥様は、特別な方、顔立ちも姿態も美しい、稀に見る淫乱女、
そのように決めつけられたみずからであっても、官能の喜びそのものには何の変わりもないことであった。
もし、みずからが特別な女であるとしたら、それは、<民族の予定調和>の表象としてある女だからであって、
人間の抱く想像力こそが人間本来のものとしての神であるというヴィジョンを実現することを目指して、
生き続けることにこそ、みずからの存在理由はある、ということでしかない、と考えられることであったのだ。
雅子は、みずからの<民族の予定調和>の表象を試されている、これは試練なのだ、と思うのであった。
「おっしゃられる通りの私は淫乱な女なのでしょう。
もっと喜びの高みにまで引き揚げられることを望んでいるのですから」
雅子は、そのように答えたのだった。
ふたりのやくざな女は、夫人のその言葉にほくそえんでいた、思惑通りの性の奴隷教育が進んでいるからだった。
「奥様にそのような自覚があれば、さらに素敵な女として生まれ変わることができること、間違いなしですわ」
年下のやくざ女がそう言い返すと、ふたつの可憐な乳首は欲情をあらわとさせて輝くほどに立たせられ、
愛らしい敏感な小突起の方もそれに負けないくらいにつんと尖らせられて、、
夫人も、火照り上がった美しい顔立ちに恍惚とした表情を浮かべながら、置きどころのないように、
右へ左へと柔らかな黒髪を打ち振るわせ、ああ〜ん、ああ〜ん、ああ〜ん、と悩ましいよがり声をあげて、
高ぶらされる官能のままに、喜びの極みへと押し上げられていくのだった。
「ああっ、ああっ、ああ〜ん」
吊り上げられたしなやかで美麗な両脚が揺れ動くほどに、艶めかしい純白の太腿がぶるぶると痙攣し、
妖美な亀裂に割られた美しい尻がくねらせられて、雅子夫人は、絶頂を極めていた。
写真機の冷徹なレンズは、予告通り、夫人の官能に舞い上げられた妖艶な顔立ちと、
顔を離した年上のやくざな女の指先で、左右へさらに押し開かれた割れめの箇所へ向けて閃光が放たれていた。
官能の喜びに舞い上がっている雅子夫人には、ただ、されるがままのことでしかなかったのだった。
だが、それが淫乱な女のあかしであるとは、当の夫人を除いて、大広間にいる誰ひとりの思うところではなかった。
年上のやくざな女は、男のひとりから手渡されて、
漆黒の色艶をした異様に太くて長い木製の張形を相手に見せつけるようにしていたのである。
雅子夫人は、快感の余韻に浸り切っているというありさまで、よく理解していないようであったが、
すぐに、その肉体で理解させられるということが始められたのだった。
太くて長い異様な張形の矛先が開き切った妖美な花びらへ押し当てられ、
鮮やかな果肉の深遠へねじり込まれるようにして差し入れられていくのであったが、
吸引と収縮をじっくりと確かめられるように、漆黒の異物は、さまざまなうごめきをあらわにされているのだった。
「ああっ、いやっ、いやっ、ああっん、ああっん」
押し込まれてくる感触を意識させられると、雅子夫人は、
目覚めさせられたように大きな美しい瞳を開き、吊り上げられた緊縛の裸身をのけぞらせるようにさせたが、
えぐられるようにうごめかされて掻き立てられる官能は、一度下降しかけていたものを無理やりに上昇させられ、
甘美な泣き声さえもらさせるものとさせていくのだった。
「如何かしら、奥様、そんなに気持ちがいいのかしら?
奥様は、淫乱な女なのでしょう? それをお認めになったのでしょう?
でしたら、遠慮なさらずに、私たちに、いかさせて下さい、とでもおねだりなさったら?」
年上のやくざ女は、押し込む度に、どろっとした女の花蜜をあふれ出させるあたりをじっと見つめながら、
そう尋ねているのだったが、その箇所を凝視し続ける<所長>と秘書が見て取れる配慮を怠ることはなかった。
夫人は、優美な腰付きをあらん限りによじって、緊縛の上半身をのけぞらせ、
奥へ奥へと差し込まれてくる張形が高ぶらせる官能へ思いを集中させられているばかりになっていた。
「返事はないのね、それでは、しばらく、そうしていなさい」
ふたりのやくざ女は、おもむろに夫人から離れて、立ち上がっていた。
それは、写真撮影の邪魔にならないための気遣いでもあり、一休みするためでもあった。
畳敷きの大広間の中央に、生まれたままの全裸をさらけ出した女が麻縄で後ろ手に縛られ胸縄を掛けられ、
畳の上へ横たえられた姿態を左右へこれでもかと割り開かされたしなやかで綺麗な両脚を天井から吊るされ、
艶めかしい亀裂をあらわした純白の優美な尻を晒し、女の割れめにある羞恥の箇所をことごとくあからさまとさせて、
しかも、いま、その中心には、妖美な花びらにしっかりと包み込まれるようにされて、
黒い色艶を放つ異様な木製の張形が深々と突き刺さっているありさまがあらわとされているのであった。
閃光を放つ冷徹なレンズによって、被虐の女のありさまは、全体像、顔立ち、局部と念入りに撮影されていったが、
眺めていた年下のやくざ女は、聞こえよがしの大きな声音で喋っているのだった。
「素晴らしく大胆でえげつなく、優美なまでに淫猥で、妖美なほどに貪欲な浅ましさをあらわした姿だわね。
普通の女であったら、私だったら、恥辱の底へ沈んで、立ち直れない思いにまでなってしまうのでしょうけれど、
雅子夫人は、特別な方、そのような淫乱な女の姿をさらけ出してこそ、妖艶というものをあらわす女なのだわ。
その愛らしさには、女でさえ惚れ惚れとしてしまうくらいの素晴らしい女らしさが漂っているのだわ」
ようやく、写真撮影が一段落すると、年上のやくざな女が雅子夫人の顔立ちの近くまで寄っていた。
「奥様、先ほどのお返事がまだですわよ。
私たちの奉仕で、もう一度、喜びの絶頂まで至らせてもらいたいのであれば、おねだりなさって。
私たちは、喜んでそうして差し上げますわ、愛らしい雅子様」
夫人は、皮肉な笑みを浮かべた相手の顔付きをじっと見つめなら、火照り上がった真っ赤な顔立ちを陶然とさせて、
ほかを望んでもかなえられない身の上では、小さく答えるしかないのだった。
「喜びの絶頂まで至らせて下さい」
それが精一杯の返事のつもりであったが、年上のやくざ女は、否をあらわすように首を左右へ振っていた。
「それでは、言い足りないでしょう。
心からのお願いです、雅子は、あなた方の奴隷です、あなた方のされるがままを望みます、いかさせてください、
そのように言うことでしょう、言ってみなさい」
夫人は、綺麗な形の唇を噛み締めたまま、返答を戸惑っていた。
だが、突然、眉根がぎゅっと寄せられ、まなざしを上目遣いにさせられ、ああっ、と甘美な声音がもらされると、
押し出されるように答えているのであった。
「ああっ、ああっ、わかりました、わかりました。
心からのお願いです、雅子は、あなた方の奴隷です、あなた方のされるがままを望みます、いかせてください」
年下の方が、突き立てられていた張形を淫靡にうごめかせ始めていたのだった。
「そう、素直で可愛らしい態度だわ、女はそうでなくては、殿方から好かれませんことよ。
これで、奥様は、淫乱な女であって奴隷であることをお認めになったのですから、
これからは、雅子夫人の身分は、淫乱な奴隷女ということですから、そのように精進なさって下さいね」
やくざ女は、そう言い終わると、夫人の裸身へぴったりと添寝していくのだった。
それから、麻縄で上下から挟まれて突き出しているばかりでなく、
高ぶらされた官能で立ち上がっているふたつの可憐な乳首へ、
ぬめりを帯びた長い舌先を伸ばさせて、舐めまわすことを始めるのであった。
「ああっ、ああっ、ああっ」
乳首への愛撫が舐めまわすことから頬張ることへ変わり、股間の張形もその熱烈さに応じてうごめかされると、
夫人は、じっとりと汗を滲ませた首をのけぞらせ、美しい顔立ちを切なそうに歪めて、柔らかな黒髪を打ち振るった。
「ううっん、ううっん、ううっん」
激しく吸われる乳房が痛みを伴うほどになっても、ゆっくりと抜き差しを始められた股間が伝えてくる快感は、
その痛みでさえ、押し上げられていく官能を喜びの方へと向かわせていくものとして、変えさせていくのであった。
漆黒の色艶を帯びた太くて長い張形が激しく抜き差しされるに及んでは、
包み込んだ鮮烈な果肉からは、きらめくしずくがねっとりとした粘液となってあふれ出し、
「ああっん、ああっん、だめっ、だめっ」
と張り上げる悩ましい泣き声は、広々とした部屋にあってさえ、うるさいほどのものになっているのだった。
その女のありさまを<所長>と秘書を始めとして、
十数人のやくざ者たちが正座の姿勢を崩さずにじっと眺め続けているのであった。
「ああっ、ああ〜ん」
純白の生まれたままの緊縛の全裸は、優美な腰付きから吊り上げられた両足のつまさきへ至るまで、
びくんとした硬直を示すと、汗を飛び散らせるばかりに、双方の艶めかしい太腿を痙攣させていた。
やくざ女の手が離され、突き立てられたままになった木製の張形は、
包み込んだ妖美な花びらとあらわにのぞかせた生々しい果肉の吸引と収縮で、
まるで、命を得た生き物のように、淫猥なうごめきをあらわとさせているのだった。
喜びを極めた雅子夫人の清楚で美しい顔立ちは、綺麗な両眼と形のよい唇を漂うようにうっすらと開かせて、
快感に舞い上げられた妖艶そのものの表情を滲ませていたが、冷徹なレンズが股間の位置から、
異様な張形と艶麗な顔立ちを並置させて撮影していることがあっても、まるで上の空だった。
ただ、熱くただれた喜びの深淵から、張形が引き抜かれていくのを感じさせられたときには、
恨みがましいまなざしとなって、すねて見せるような表情さえ浮かべていたのだ。
淫乱な奴隷女が身分であると決めつけられることになっても、
人間の官能は清冽なもので、その最高潮は人間を超脱させる思いにまで至らせるものがある、
ということには変わりがない、と感じさせられていたからだった。
だが、どっぷりとした官能の余韻に浸らされ、それが次第に醒めていくものであることを知覚させられると、
みずからの置かれている、余りにも浅ましい、恥辱の醜態という現実を気づかされるのであった。
淫乱な奴隷女と侮蔑されても当然のことである、
人間の尊厳として、品性のかけらも見出せない姿があるのだった。
生まれたままの全裸を麻縄で縛り上げられている、という姿態も、
そのありようは、<民族の予定調和>の表象としての女性があらわすものとまったく同じであったが、
みずからが晒されているのは、娼婦として躾られていく道を歩まされていることが実際であって、
その行き着く先に待っているのは、<民族の予定調和>という崇高な事柄などではなく、
不特定多数の男性を相手として、金銭を稼ぐために弄ばれる身の上でしかない、ということであった。
雅子は、そう思い至ると、目頭が熱くなり、
大きな瞳に涙を浮かばせて、きらめくしずくを火照った頬へ落していた。
「あら、淫乱な奴隷女である雅子夫人、涙を流すほど、喜ばしかったのかしら。
でも、まだ、終わりではないのよ。
奥様が基本的な素質を持っていることが確認されないうちは、<淫靡屋敷>への入所手続きは完了しないことよ。
さあ、もう一度、昇りつめて差し上げるわ、お好きなんでしょう、官能の絶頂が」
夫人の顔立ちの前へ立った年上のやくざ女は、そのように言い放つと、
年下の方と連れ立って、両脚が吊り上げられて大きく割り開かされた股間の方へとまわっていくのだった。
「まっ、待って下さい、私、疲れていて、もう、だめです、
もう少し、もう少しだけ、休ませて下さい、お願いです」
夫人は、あわてて引き止めるように言葉を投げていたが、このまま、相手のされるがままになっていったら、
みずからの意志で固めた思いは、どうなってしまうのかわからない、という強い不安が生まれていた。
「馬鹿をおっしゃい、淫乱な奴隷女である奥様が何をおっしゃられるのです。
与えられた名誉な身分が泣きますわよ。
雅子夫人にとってみれば、三度の絶頂など、朝飯前のこと、一日は、朝・昼・夜とあるのですから、
子供の算数でも、一日ならば十八度、そのくらいの計算はできるのではなくて」
年下の方が意地悪そうな笑みを浮かべながら、そう答えているのだった。
「そんなことって」
ともらされた夫人の言葉もおざなりにされて、女の股間に対するふたりの女の執着が始まっていた。
潤いが乾いてしまっていた状態にあったが、年下の方が愛らしい小突起があらわとされている側から、
年上の方が可憐な菊門があからさまとされている側から位置を定めて、
ほっそりとした指先を、丁寧に、丹念に、微妙に、執拗に、優しく、強く、弱く、激しく、と律動を加えながら、
敏感な小突起が真珠の小粒の輝きをあらわして愛らしく立ち上がるまでに撫でられ、
純潔をあらわすように可憐にすぼまった菊門が息づくように揉み上げられていくのであった。
「ああっ、いやっ、いやっ、いやです」
そのおぞましいくらいに官能を煽り立てられてくる愛撫に、雅子夫人は、美しい眉根をぎゅっと寄せて、
あらがう声音をか弱く叫ぶのであったが、菊門へ指先をもぐり込まされる感触を意識させられるようになると、
その汚辱に、まぶたをしっかりと閉じて、唇も真一文字に引き締めて、否の抵抗をはかなく示すのであった。
「さすがは、淫乱な奴隷女である雅子夫人です、皆様、ご覧になって下さい、
もう、女の花びらがぱっくりと開いて、喜びの甘いしずくをもれ出させて、鮮やかな果肉が収縮を始めています」
聞こえよがしのやくざ女の大声であったが、夫人は、そのようなことをことさら言われなくても、
再び、太腿の内側と下腹部のあたりからぞくぞくと高まってくる官能の波頭を意識させられて、
もう、勝手にして下さい、と自棄気味な思いにまでなってくるのであった。
どうにも逃れられないままに、再び、燃え立たせられ、煽られ、熱くほだされて、陶然とさせられていく、
立ち上がった敏感な真珠の小粒を揉み上げられながら、指を差し入れられたままの菊門のなかへ愛撫を加えられ、
さらに、片方の女の指先がめいっぱいに押し開かせた花びらの奥へ、
もう片方の女の揃えた三本の指先が鮮烈な果肉に吸引されるままにもぐり込まされてくるのであった。
雅子夫人は、もう、そのような勝手放題にされる肉体は、みずからの身体であるとは思いたくなかった。
だが、どんどんと高まってくる官能の波頭は、激しい疼きの快感を伝えて思いをのぼせ上がらせ、
双方の太腿を震わせるほどの灼熱とした感覚にまで押し上げられるのであった。
それは、いままでに感じたことのない、こらえられない噴出を知覚させるものだった。
果肉の奥へもぐり込まされた三本の指先は、人差し指の第二関節まで入るあたりの膣壁の前方へ向けられて、
そこにある粟状に盛り上がっている箇所をまさぐるように、掻き出すように、激しい愛撫が成されていたのであった。
「ああ〜ん、ああ〜ん、ああ〜ん」
雅子夫人は、なりふりかまわないといったように、火照り上がらせた緊縛の上半身をうねりくねりさせて、
柔らかな黒髪を右へ左へ打ち払い、うっすらと開かせたまなざしを恍惚へと浮遊させながら、
半開きとなった美しい形の唇から、喘ぎと泣き声の入り混じった、
抑え切れない悩ましさの声音を上げているのだった。
それが、懸命になってこらえようとしている、せめても抵抗のあらわれであったのだ。
高みへと押し上げられていく官能の煽り立てられる喜びは、
呑み込まれるほどに盛り上がった波頭が一挙に粉砕するときが頂上であることを思わせたが、
そのとき、官能が粉砕することは、下腹部を噴出させてしまうことだった、
それは、想像もしたことのない羞恥の極みを予感させることであったのだ。
しかし、ふたりのやくざな女たちには、容赦というものがまるでなかった。
すでに、噴出するありまさを写真機の冷徹なレンズが明確に捕えるように、
夫人の股間には、果肉へもぐり込まれた年上の方の指先しかない状態が演出されていたのだった。
「ああっ、もう、だめっ、もう、だめっ!
出てしまう、出てしまう、だめっ!」
うわ言のような夫人の張り叫んだ声音が上がって、
しなやかな両脚を割り開かれて吊り上げられた緊縛の全裸を全身でのけぞらせると、
引き抜かれていく女の指先が蓋をしていたかのように、きらめくしずくが高々と噴き上げられたのだった。
のけぞらせた姿態は、うねるようにくねるように、ぶるぶるとした痙攣をあらわとさせ、
感極まったというように、雅子夫人は、涙のしずくをあふれ出させて、泣きじゃくっているのであった。
女の羞恥があらわとなった箇所から噴き上げた見事な噴水も、泣きじゃくる愛くるしさを漂わせた美しい顔立ちも、
ぴくぴくと痙攣し続けている凄まじい格好の緊縛の全裸も、素晴らしい映像として入手されたことだった。
これほどに綿密な写真が撮られた理由は、雅子夫人が裕福で地位のある者だけが集まる社交界において、
知らない者がなかったほど、容姿端麗の聡明な華族の奥様であったという素性によることだった。
ただのエロ写真以上であることの付加価値は、相当の値段が付くことを明白とさせているのであった。
夫人のありさまを眺め続けていた<所長>と財界の大立て者の秘書も、予算には、顔を見合わせて笑っていた。
そして、淫らがましいその笑いには、無事に<淫靡屋敷>への入所手続きが完了した後、
<所長>と秘書による奴隷の個人面談が待っていることへの期待が含まれているのであった。
雅子夫人は、天井から吊り下げられていた格好から解放されると、
ふたりのやくざ者に、全裸を緊縛されたままの縄尻を取られ、引き立てられるようにされながら、
早速、屋敷の奥にある面談室まで連れて行かれるのだった。
面談室は、落ち着いた風情のある和室で、朱色も鮮やかな艶めかしい夜具が敷かれいたが、
夫人は、そこへ横たえられると、ふたりから、豆絞りの手拭いで猿轡を噛まされ、
しなやかで美しい双方の両脚を膝を折り曲げた形で縛り上げられ、そうされることによって、
あからさまにさらけ出された股間へ対する防備とあらがいの言葉を一切封じられるのだった。
面談とは、直接会って話をすることではない雰囲気であった。
それから、ひとりぽつねんと置かれた雅子夫人だったが、
思いをめぐらす余裕などは、少しも与えられることはなかった。
間もなく、<所長>と秘書があらわれたのだ、
すでに、ふたりとも、生まれたままの全裸の姿にあっての登場だった。
「わしも、これまでに、綺麗な女は数知れず見てきたが、おまえさんは、まったく別嬪だ。
顔立ちの美しさ、身体付きの優美さ、それに加えて、陰核と膣と膣にある秘所への三様の愛撫で、
喜びの絶頂を極めて見せられるのだから、後は、口と肛門さえしっかりしていれば、申し分のない完璧さだ」
<所長>は、でっぷりとした太鼓腹をぴしゃぴしゃと叩きながら、もたげている太い陰茎をぶらぶらとさせて、
喜ばしそうに笑みを浮かべながら、雅子夫人の緊縛姿を眺めやって言うのであった。
「いや、私も、雅子夫人は金の卵である、と会長様へ良い報告ができるというものです。
それに、このようなお相伴に預からせて頂いて。
会長様には、<所長>のこと、充分に宜しく申し上げておきます」
秘書は、にやついた顔付きを欲情の火照りでてらてらと光らせながら、
待ち受けているようにさらけ出されている夫人の妖美な股間から、眼を離せないでいるのだった。
「雅子夫人がこれだけの逸品の女でなかったならば、秘書殿にも、膣を味わって頂きたいところである。
だが、残念ながら、夫人をいま妊娠させてしまっては、予算達成に大きな差し障りが生じる、
それでは、会長様のご意向に添うことにはならないので、どうか、その点をご了解頂きたい。
しかし、美しい形をした唇の方と可憐なすぼまりを見せる菊門については、満足のいくように、ご賞味頂いて結構。
わしは、女の尻の方でなければ満足の遂げれない性質なので、
入所手続きを終えた女の処女を破瓜するのが仕事と言えば仕事で、もってこいなのですが、
秘書殿の方は、如何ですか、さあ、遠慮なさらずに、お好みの方から始めて下され」
<所長>は、もたげさせた陰茎を堂々と晒し、腕組みして待つという姿勢でそばへ仁王立ちになるのだった。
会長の秘書が奴隷の入所に同席するということは、滅多にないことだった。
それだけ、雅子夫人は特別な存在であったのだ、<所長>も、精一杯の接待をしているつもりであったのだ。
「それでは、遠慮なく、お先に失礼させて頂いて」
と秘書は、赤々と反り上がっている先の方からは、すでにきらめく糸を長々と引かせながら、
雅子夫人の顔立ちの方へ裸身を近づかせていくのだった。
それから、噛ませていた豆絞りの手拭いを解いて外すと、思わず言うのだった。
「美しい、本当に美しい、見つめているだけで、うっとりとさせられてしまう。
女房とは、えらい違いだ、資産家の二女だからといって結婚したが、結婚してはや十五年、
わがままもいいところの女で、浪費はひどい、夜の生活は気まぐれ、第一に品というものがまったくない。
雅子夫人が示したような素直な愛らしさなど、逆立ちしたってあり得はしない。
女房からは唇にさえ口づけされたことはないが、社交界で有名な容姿端麗の淑女から吸茎してもらえる、
生涯の自慢にできることだ、まさに、男冥利に尽きるというものだ」
にやけ顔の秘書は、初体験の照れを隠すとでも言うように、ぶつくさと独り言を喋りながら畳へ跪いていくと、
握り締めた矛先を相手の美しい顔立ちの方へ向けるのであったが、
雅子夫人は、まなざしをそらせて、綺麗な唇を真一文字に引き締めたまま、こわばらせた表情にあるだけだった。
「秘書殿、吸茎は、無理やり行っても、お互いに傷付くだけですよ。
雅子夫人は、淫乱な奴隷女であることを認めた女なのですから、そのように扱ってやれば、
秘書殿がおっしゃるように、素直な愛らしさ示す女であることをおのずとあらわしますよ。
どれ、わしが協力致しましょう」
<所長>は、そのように言うと、夫人の股間の前へでっぷりとした身体をよいしょとさせて腰掛けさせ、
鮮やかにさらけ出された花園をしげしげと眺めながら、太い指先で優しく撫でることから始めるのだった。
太い指先で、愛らしい敏感な小突起を掻き出され、花びらを愛でるように丹念に愛撫され、
菊門のすぼまりを優しく揉むようにされていくうちに、夫人の優美な腰付きは、淫靡なうごめきを始めるのであった。、
男の無骨な指先の愛撫で官能に火をつけられた雅子夫人は、
たとえ、姿態が抵抗の許されない緊縛姿にあったとしても、ただ、されるがままになっているそのありさまは、
淫乱な奴隷女の身分を完全に引き受けてしまっているとしか見えないものだった。
ああん、ああん、とやるせなさそうにもらされる甘い声音では、
誰が聞いても、あらがっているとは到底受け取れないことだった。
愛らしい小突起が揉まれながら立ち上がらせられ、菊門の縁が指先のもぐり込むような素振りで強く撫でられ、
掻き立てられていた官能が煽り立てられていくと、
女の花びらは妖美に開き、官能の甘さをたたえる女の花蜜がどろっともれ出してくるのだった。
<所長>は、その豊潤な潤いを知ると、にんまりとした顔でうなずきながら、
「秘書殿、雅子夫人へ言ってあげなさい。
おまえは、淫乱な奴隷女を身の上とするのだから、差し出された男性は、喜んで受け入れることをするのだ、
そう言ってやりなさい、雅子夫人は、素直に愛らしく従いますよ」
と助言をすると、煽り立てている女の官能へ、
さらに押し上げるような熱心さを加えながら、股間の愛撫を続けているのだった。
秘書は、夫人に対して、助言された言葉を鸚鵡返しに語っていた。
それは、まるで、開けごま、といった魔法の呪文のようであった。
それまで、美しい顔立ちをこわばらせて、綺麗なまなざしをそらさせて、形のよい唇を真一文字に引き締めたまま、
高ぶらされる官能を懸命にこらえている素振りの雅子夫人であったのだが、奴隷のように命じられると、
まるで、待ち焦がれていた言葉のように、うっすらと開かせた悩ましそうな流し目を相手に投げかけるのであった。
それから、差し出されている赤々と反り上がった陰茎へ、綺麗な唇を開かせながら寄せていくのだった。
淫乱な奴隷女は、淫乱な奴隷女である素直な愛らしさをあらわしている、という素振り以外の何物でもなかったのだ。
雅子夫人は、もはや、官能に隷属させられた、ただ、言いなりになるだけの女に陥ってしまったようだった。
きらめく糸を長々と引かせた矛先へ寄せた唇で優しく口づけをすると、
ためらうことなく一気に含み込んでいったのだった。
だが、夫人に舌先で行う技巧があるわけではなかったから、ただ、含み込んでいるというだけだっだ。
「おまえは、淫乱な奴隷女を身の上とするのだろう、舌を使って舐めまわせ!」
有名な美貌の淑女から口で頬張ってもらった感激と激しく高ぶらされている官能は、
相手へ命じることをさせるほど、にやけた秘書を思い上がらせ舞い上がらせていたが、
それに対して、雅子夫人は、躊躇もせずに、言われたままのことを素直に行うだけだったのである。
もはや、世界中の誰が見てさえも、淫乱な奴隷女であることは、歴然としていることであった。
<所長>も、夫人の可愛らしい様子に淫らな笑みを浮かべると、でっぷりとした裸身を跪かせる格好に変えて、
太く反り上がった陰茎の矛先へ、濡れそぼった花びらから掬い取った女の花蜜を塗りたくり、
愛撫によって開き加減となった菊門へとあてがっていくのであった。
しなやかで美しい両脚を膝から折られて縛り上げられた姿態では、
あからさまにされた尻の箇所も、押し込まれるままに受け入れるしかないものであったのである。
その苦悶には、思わず、頬張らされている陰茎を離して逃れたい、と思わせるほどのものがあったように、
夫人は、くぐもったうめき声をもらして、柔らかな髪を振り動かそうとしていたが、
高潮させられる官能に勢いづいていた秘書は、夫人の頭を両手でがっちりと押さえ込んでいるのであった。
逃れることのできない、高ぶらされていくままに、昇りつめさせられる官能でしかなかったのだった。
<所長>の太い陰茎がゆっくりとした抜き差しを始めると、苦悶が灼熱とした疼きに変わり、
それが押し上げられていく官能と結び合わされて、苦痛が強い快感となって伝わってくるのが感じられるのだった。
夫人は、頬張らされている陰茎へ行う舌先の愛撫もおそろかになるほど、尻の陰茎を突き上げられていたが、
秘書の方も同調して、つかんだ夫人の頭を激しく前後へ揺り動かさせて、抜き差しを繰り返しているのだった。
はあ、はあ、はあ、と熱い吐息が男たちからもらされ、口の中と尻の穴への同時の抜き差しが激烈になっていくと、
ついに、感極まって、ううっ、ううっ、という男たちの叫び声が上げられ、ほぼ同時の放出が行われていった。
雅子夫人も、男性に付き従うように従順に、火照り上がった緊縛の全裸をびくんとさせると、
燃え上がる官能の絶頂へと昇りつめさせられていったのだった。
後ろ手に縛られ胸縄を掛けられ膝を折り曲げられた緊縛の裸身を喜びの痙攣で震わせている夫人だったが、
口端から流れ出した白濁とした精液もそのままに、ぐったりとなってしまっていた。
だが、<所長>は、そのような女の様子はともかくとして、
秘書殿にお帰り頂くには、会長様への報告に最善のものが必要である、と思っていたから、勧めるのであった。
「夫人の可愛らしい口の方は、まだまだ、舌の技巧が幼稚で、さほどではない様子のようでしたが、
可憐な尻の方の吸引と収縮は、なかなかのものがありました。
これで、雅子夫人の処女は破瓜されたわけですが、それを完璧なものとするのは、やはり、秘書殿です」
そのように言って、気を失いかけている状態にあった夫人の菊門へ手招きをするのであった。
秘書にとっては、有名な淑女の口中へ含んでもらい、放出を果たせたことに充分満足のあったことであったが、
折角の据膳の機会を断っては、この先、一生の不覚を悔いると思い合わせて、喜んで応じるのだった。
優美な尻の可憐な菊門がもう一度責められていくのであったが、
添い寝をした<所長>から、身体を抱かれるようにされて、左右の乳房を揉まれ乳首を弄ばれていっても、
ぐったりとなってしまっている夫人には、ほとんど反応は見られなかったが、
再び、赤々とした陰茎をいきり立たせた、にやけ切った秘書から、
開き切った花びらの奥、鮮烈な果肉の淵へ二本の指先をもぐり込まされながら、菊門へ挿入されていくと、
花散るように地面へ落下していた官能は、無理やり、尻を蹴り上げられるように、上昇させられていくのであった。
夫人は、妖艶な薄目がちのまなざしを投げかけ、綺麗な形の唇を半開きとさせながら、
汗がべっとりと浮き出た白い首筋をのけぞらせて、
「あ〜あ、あ〜あ、あ〜あ」
とうわ言のような悩ましく甘美なうめき声を上げ続けているばかりで、まなざしはすでに妖美に浮遊しているのだった。
秘書が激しく抜き差しを繰り返すようになると、あふれ出させた女の花蜜でてらてらと輝かせた、
純白の艶めかしい太腿は、ぶるぶると痙攣をし始め、ついに、放出が果たされたときには、
万歳と叫んでいる男の声音も聞こえていない様子で、喜びの絶頂を極めさせられた恍惚状態にあるのだった。
雅子夫人の緊縛された姿態は、横たえられたままになっていたが、
すっかり脱力させられてしまったように身動きをしなかった、生気あるあかしは、
官能の快感の余韻にあって、ぴく、ぴく、とさせている純白の太腿があらわとさせているばかりのことだった。
それでも、夫人は、淫乱な奴隷女の身分であったから、
それが女の本性となるためには、徹底した躾が施されていくのであった。
でっぷりとした<所長>とにやけた秘書が満足そうに笑い合いながら立ち去っていった後の面談室には、
年上と年下のやくざ女があらわれたのだ。
夫人の膝を折り曲げて縛り上げられていた縄は解かれていったが、
後ろ手に縛られ胸縄を施された緊縛は、そのままの姿だった。
ふたりのやくざ女は、用意してきた湯の入った桶と手拭いで、
夫人の口や花蜜と精液が入り混じって汚れた股間をきれいに後始末したが、終わるとすぐに立たせようとした。
気を取り戻している状態にあった雅子夫人であったが、独りで立つのがままならないくらいにふらついていた。
やくざ女たちは、仕方なく、左右から支えるように寄り添って、屋敷のさらに奥にある部屋へと連れていくのだった。
たどり着かされた最奥の部屋は、座敷牢であった。
太い白木の格子で造られ幾つかに仕切られた畳敷きの頑丈な牢舎と板敷きの空間が設けられていた。
高い窓がたったひとつしかなく、帯状をした光が床の一点を明るませているだけで、
ほかに牢へ入れられている者のいない殺伐とした雰囲気は、暗澹とした冷やかさを漂わせていた。
雅子夫人は、部屋の隅に立てられた白木の太柱まで運ばれていくと、
柱を背にして、直立した姿勢で緊縛された全裸を繋ぎ留められるのだった。
夫人は、かなりしっかりとした状態へ回復していたが、
縄に繋がれていなければ、へたり込んでしまうという弱々しい状態は続いていた。
洋服姿のやくざ女たちは、仁王立ちになった姿勢で、その全裸の様子を舐めまわすように眺めているのだった。
雅子夫人は、美しい顔立ちを俯かせたまま、相手をまるで見ようとしない素振りで、
かたくなにみずからへ閉じこもっている様子をありありとさせていた。
「そうよねえ、今日、奥様がこの<淫靡屋敷>へ連れてこられて、行われたこと。
大勢の見ている前で恥辱の姿態をさらけ出して写真に撮られ、羞恥の穴という穴を陵辱されたということ、
女として、打ちのめされた思いと肉体を感じて、当然のことだわね。
普通の女だったら、自殺してしまいたいくらいの恥辱や汚辱でしょうね。
けれど、奥様は、ほとんど嫌がる態度も見せずに、抵抗も示さなかった。
どうしてなのかしら? 私は、ずっと不思議に思っていることなのだわ」
年下の方が俯いている雅子夫人の顎を捉えて、その顔立ちを上げさせながら喋っていた。
しかし、夫人は、まなざしを逸らさせて、唇を真一文字とさせているだけだった。
「言う通りだわね、私も、不思議を感じていた。
この<淫靡屋敷>へ連れてこられた女は、泣きじゃくるか、激しくわめくか、暴れるかして、
或いは、最初から失神してしまう女もいるけれど、誰だって、嫌がり、あらがい、抵抗を示すのが普通のことだわ。
そして、抵抗しながら躾られていって、やがては、美しい性の奴隷となる。
それを、奥様は、最初から観念なさっているように、ほとんど、されるがままになっているだけだった。
淫乱な奴隷女の身分を引き受けてしまった、と言えば、躾る方にしてみると、楽なことには違いないけれど、
女として、恥辱・汚辱の極みへ晒されて、どうして、逆らわないでいられるのか、嫌がらないでいられるのか、
不思議を感じさせられることには違いないわ。
奥様ほどの身分のある女が、どうして、そのように振舞うことができるのか。
わけがあったら、聞かせてもらいたいくらいだわ。
それとも、誰かがいつかは助けに来てくれるとでも思っているのかしら、
でも、残念ながら、その前例は、まったくないのよ。
ここは、地獄と一緒で、一度陥ってしまったら、性の亡者となって生き続けていく以外に、いられない場所なのよ。
奥様、よかったら、私たちに話して下さらない、奥様の秘めたる本心がお有りになると言うのなら」
年上のやくざ女は、上下に掛けられた胸の縄で突き出すようにされた綺麗な乳房のひとつへ触れて、
相手の顔立ちをまじまじと見つめながら、優しく問い掛けているのだった。
だが、夫人は、されるがままになっているだけで、まなざしさえ動かそうとしなかった。
「話して聞かせてよ、私も、知りたいな、奥様の本心というもの、そういうものがあるのなら。
ねえ、いいでしょう、奥様」
年下の方も、もうひとつの乳房へ手を触れると優しく揉みながら、甘ったるく返事を迫るのだった。
ふたりのやくざ女にとっては、夫人のかたくなさを和らげるために、話し掛ける話題が欲しかったというだけで、
実際のところは、これから夫人へ施す処置のためには、官能を高ぶらせておくことが必要なだけであった。
女たちによって、左右の乳房と乳首を揉みしだかれるようにされていくと、
雅子夫人は、突然、きっとなったまなざしを相手に向けて、はっきりとした声音で答えたのだ。
「あなた方が尋ねられているのは、淫乱な奴隷女に対してですか。
それとも、雅子自身にですか」
夫人のその言葉は、余りにも意外なものだったので、ふたりのやくざ女は、思わず、顔を見合わせていた。
「淫乱な奴隷女に対して尋ねられたのなら、お答えするものは何もありません、
言われるがままになるのが淫乱な奴隷女ですから。
でも、雅子自身に対して尋ねられたのであれば、雅子は、はっきりと申し上げます。
私は、<民族の予定調和>を信じている表象の女性だからです。
その自尊心において、淫乱な奴隷女にされる一切のことは、雅子の恥辱ではないからです。
雅子は、されるがままの恥辱や汚辱にあっても、それを官能の喜びとすることができるからです」
ふたりのやくざ女の愛撫の手が止まってしまった発言だった。
やくざ女たちは、唖然となった表情で、相手の美しい顔立ちを見つめるばかりだった。
「あなた方から官能を責め続けられて、恥辱の醜態をあらわとさせられていくなかで、雅子は、理解したのです。
<民族の予定調和>は、絶対に実現できることに違いない、
生まれたままの全裸を自然の植物繊維から撚られた麻縄で縛り上げられた女性がその表象となるのは、
緊縛された縄が官能と結び合わされて、その者を縛って繋ぐ力の思索へと向かわせるからです、
縄で緊縛された肉体という拘束された不自由の身の上にありながら、
高ぶらされる官能が感じさせるものは、
その肉体を飛び出して飛翔することを求めさせるほど、喜びのある快感があるということなのです。
人間の官能は清冽なものです、その最高潮は人間を超脱させる思いにまで至らせるものがあるのです。
しかし、官能の喜びの余韻も醒めてしまえば、みずからへ行われた恥辱の醜態は、現実のものでしかありません。
その実際のありさまは、人間として、情けなく、浅ましく、卑猥で、下品で、下卑たものでしかありません。
女として、死ぬほどの思いの羞恥を感じて当然なことです。
それが、私が淫乱な奴隷女とされて、晒されているありさまなのです。
私は、囚われの身です、逃れる術も、拒否する術も奪われて、されるがままになるしかないのです。
そのようにしていかなければ、生き続けていくことができないからです。
何のために生き続けるというのでしょう、
恥辱や汚辱に晒されたありさまは、死ぬほどの思いを感じさせるというのに。
官能の喜びがあるからです、官能の喜びが飛翔させていく思いへと導くからです。
人間の抱く想像力こそが人間本来のものとしての神であるというヴィジョンを実感させる思いがあるからです。
官能は、私たち人間が平等に持っているものです、日常茶飯事、私たちに働いているものです。
そのようにあるからこそ、縛って繋ぐ力という思索の原動力となり、想像力を飛翔へと導くものとさせるのです。
無理やりに、何度も何度も、官能の喜びの絶頂へ押し上げられて、私が感じたことです。
たとえ、それが見るからに淫猥で、浅ましく、過激な色事であったとしても、
官能の喜びの絶頂にあって、飛翔させる想像力は、淫猥で、浅ましく、過激な色事を超越しているのです。
その超越は、人間の想像力というものは、存在する人間の数だけ、神が存在することを可能とさせることなのです。
清冽な官能の喜びは、私に、このように理解させたのです、
これがあなた方に答えることのできる、雅子の思いです」
夫人は、そのように言い終わると、淫乱な奴隷女の身分を引き受けるように、寡黙になるのだった。
生まれたままの全裸を後ろ手に縛られ胸縄を掛けられ、柱に晒しものとなっている女があるだけであった。
いったい何事が起こったのか、というような茫然とさせられた表情で、
ふたりのやくざ女は聞き終えていたが、ようやく、年上の方が深いため息をつきながら口を開いていた。
「何だか、えらく難しくて、尋常でない話を聞かされた感じだわね。
いまが戦争の非常事態の真っ最中であるのだから、ここで、このようなことをしていることだって、
尋常でないと言えば、尋常ではないかもしれないけれど、奥様がお話になったこと、
<民族の予定調和>というような、そのようなこと、まったく聞いたこともない、気違いじみた話だわ。
行われていることは、とても淫猥であるのに、感じられていることは、とても気高いなんて、そんなこと!」
それ以上に話すつもりであったのだろうが、言葉を詰まらせてしまっていた。
代わって、年下のやくざ女が続けていた。
「私も、雅子夫人のような方は、初めてだわ、でも、奥様、
先ほど、奥様へ行われたことは、ほんの手始めの入所手続きに過ぎないことですよ、
奥様には、これからの日々、立派な稼ぎができるようにと施される、過酷な奴隷調教が待っているのですよ、
奥様は、奴隷なのですから、生まれたままの全裸を縄で緊縛された姿でしか生活を許されません、
<民族の予定調和>の表象とやらの女性とまったく同じ格好ということですわね、
でも、奥様の明日からの<予定調和>は、その緊縛姿で、大勢のやくざ衆が眺めているのを前にして、
女の羞恥の翳りである恥毛をすっかりと剃り上げられることから始められるのです、色道を歩まされるのです、
剃毛されて少女のようになった箇所に合わせて、その美しい髪も三つ編みのおさげにされて、
居並ぶやくざ衆のひとりひとりから、くっきりと鮮やかにさらけ出された可憐な割れめへ、接吻を受けるのです、
大勢いれば、人間も十人十色ですから、唇で吸ったり吹いたりするだけでは物足りなくて、
伸ばさせた舌先を鮮やかな割れめへもぐり込ませる者もいるかもしれませんが、それは随意に成されることです、
全裸を緊縛された奥様は、男たちの唇と舌先の愛撫だけで、高ぶらされる官能を覚えさせられることだからです、
それは、それから、奥様が連れていかれる部屋にお待ちになっているのが、著名な老人の作家の方であるからです、
その方は、相手が少女でなければ満足の遂げられない性質をお持ちですが、作家の方ですから、たいそう変人です、
奥様の年齢の美しい女性が少女の姿をあらわしているさまが最高にエロスの想像力を掻き立てると言うのです、
その想像力から作り出された小説は、幅広い読者を持つ、人間を描く文学の巨匠と評価されているものだそうです、
もっとも、老人と一夜の床入りをさせられると言っても、相手は、勃起することそのものが怪しいお方ですから、
緊縛された生まれたままの姿にある奥様の顔立ちや、身体付きや、股間の箇所を何時間も見続けることをするか、
舌を這わせて全裸を執拗に舐めまくることをするか、
或いは、ぴったりと添寝して、奥様の愛らしい少女の割れめへ指を差し入れながら、眠ることをするだけでしょう、
優美なお尻が責め立てられることもないでしょうし、妊娠の可能性も、まったくないことだと思います、
奥様の妊娠は、奥様の性病と同様に極めて重大事ですから、私たちも、充分な配慮を持って接していきます、
しかし、万が一妊娠された場合でも、優秀な堕胎の医師が掛かり付けでおりますから、安心なさって下さい、
性病については、私たちは、高級なお客様を厳選しておりますから、可能性は低いとは思われますが、
週に一度、先ほどの医師が奥様の身体を隈なく診察致しますので、まず、安心だと思われます、
老人の方は、早起きですから、明け方には帰られます、それから、奥様には、お風呂に入って頂きますが、
胸縄は解かれても後ろ手に縛った縄はそのままです、その縄を風呂場の柱へ繋がれて、隅々まで洗われるのです、
奥様の裸身を清潔にしたり、化粧を施したり、必要であれば、着物を着付けるための下女がいますから、
奥様は、その者のされるがままになっていればよいのですが、会話は許されていません、その下女は聾唖です、
入浴が終わると、奥様は、晩に予定されている見世物へ出されるための準備に入る、ということになります、
出し物は、「貴婦人の優雅なおしっこ」というもので、十人ほどの観客が大広間へ集められますが、
観客はすべて、財産こそ蓄えて大いに持っていますが、都会の貴婦人などとは縁遠い地方の豪農の方々です、
奥様は、実際に華族の夫人であった方ですから、よくあるような食わせ者の茶番劇とはわけが違います、
美しく化粧をされ、綺麗に着物を着付けられた奥様があらわれ、お客様のお一人お一人に丁重に酌をしてまわり、
舞台へ上がると、お客様の官能を高ぶらせる妖艶な立ち振る舞いで、身に着けていた着物を脱ぎ去って、
生まれたままの優美な全裸を晒しますが、その純白に輝く柔肌には、綺麗な乳房から優美な腰付きへかけて、
幾つもの菱形の紋様が綾を織り成す縄の意匠が施されていて、その美麗は言うまでもありませんが、
お臍から縦に下ろされて、翳りをまったく奪われた生々しい割れめへもぐらされている股縄の妖美は、
女である私たちが眺めても、うっとりとさせられるものですから、殿方には、たまらないありさまがあるはずです、
その股縄は、奥様の股間にある敏感な三つの箇所を刺激して、官能ばかりか、尿意をも高めるものであるのです、
妖美な緊縛の奥様がお客様のところへ降りて、今度は、お一人お一人と三三九度の杯を交わされるのですから、
すでに、お酒のまわっている殿方は、奥様の乳房やお尻、股間の箇所さえ触れずにはいられないことでしょう、
奥様は、下稽古において、女の媚態というものをしっかりと仕込まれて、発揮なされるわけです、
十人の方と
一つの杯で三度ずつお酒を召し上がるのですから、奥様も、お酔いになり、尿意もいっそう高まります、
桜色に火照った美しい顔立ちと純白の裸身の柔肌へ掛けられた縄目を鮮やかさに映えさせて、舞台の方へ戻ると、
割れめへ埋没させられていた縄だけを解かれ、羞恥を懸命にこらえた妖艶な表情を浮かばせながら、
その場へしゃがみ込んで、用意された手桶めがけて、銀のしずくが優雅な放物線を描く放尿を果たされるのです、
奥様も、恐らく、初めての経験では、なかなか上手にはいかないことでしょうが、その初々しさにこそ、
「女郎の立ち小便」ではなく、「貴婦人の優雅なおしっこ」という現実感があって、高い見物料が稼げることなのです、
しかし、その初々しさというものも、作り出されるからこそ、かもし出される、というものでありますから、
奥様には、準備として、十人のやくざ衆を相手として、下稽古をして頂くことになります、
三三九度の杯を交わされたということには、そのままの意味があるわけですから、舞台の見世物が終了すると、
奥様は、後ろ手に縛り上げられ、艶めかしい朱色の夜具の敷かれた寝所へ連れていかれて、
奥様の見事な演技につけた最高の評価金額で競り落とした観客の方と床入れを成されることになります、
それは、奥様が膣へ最初にお客様を迎えることですから、
奴隷としての初夜であり、婚姻の真似事ということなのです、
もちろん、下稽古においても、同様なことが行われることは、言うまでもありませんが、
やくざ衆が奥様の膣へ挿入することは、絶対に禁じられていますので、この場合はお尻の方となります、
落札された豪農の方が何度思いを遂げられれば、満足なされるものであるかはわかりませんが、
翌朝の十時が期限とされて行われることです、その後は、奥様には、お風呂で清潔な身体となって頂きます、
そして、いらっしゃって頂いております色事の調教師様によって、色道が教え込まれることなります、
奥様がここで経験なされる色事は、すべて、調教師様の考えられた調教計画に厳格に従っていることなのです、
調教師様の色道は、茶道や華道や書道や衆道などというものが我が国の伝統としてあるように、
女郎の世界において脈々と受け継がれてきた、古くて尊く厳粛な女の技の伝授としてあることなのです、
調教師様から、技を仕込まれる場合は、休息する時間は一切与えられずに、夜通し行われることが常です、
調教師様は、できるまで何度でも行わせますから、できないということは死ぬことだ、とさえ覚悟して下さい、
それをやり遂げられた奥様は、仕込まれた色道で幅広い集客力を持たれますので、ようやく、半玉となるのです、
と申しますのも、調教師様の伝授は、膣を中心とした女の技によって、女の色香を匂い立たせることだからです、
奥様は、その妖美な花びらに隠された鮮やかな果肉の深遠の箇所を使って、
差し入れられた筆で、調教師様から求められる文字を達筆に書けるようになるまで、お習字をさせられたり、
或いは、挿入されたバナナを一度で切って見せることができるようになるまで、吸引と収縮を鍛練させられるのです、
そのバナナも、鉄幹が晶子にさせたという芸術的な噂に従って、本当に美味なものであるかを確かめるために、
実際では、女の花蜜に濡れたものをお客様にご賞味して頂くことになりますから、
奥様には、バナナを差し入れられただけで、花蜜が充分に潤うような敏感な身体になって頂く必要があります、
これには、お休みになられるときに、調教師様から申し付かった<お決まり>を行って頂くことでありますが、
それは、後ほど、実際に施して差し上げますので、詳しいことはそのときにお知り下さい、
それから、差し入れられた鶏卵を割って、卵黄と卵白だけを膣から垂れ流して見せることや、
幾つもの鶏卵を含み込まされて、鶏が産むことを真似て、ひとつずつ吐き出していくことがあります、
しかし、何と言っても圧巻なのは、眺める者の方へあられもなくさらけ出された奥様の鮮やかな鮭肉色の深遠から、
真っ白なゆで卵が吹き飛ばされる技ですが、
これは、なかなか困難な技で、大抵の女はここで根を上げてしまいます、
しかし、調教師様は、何代も続くお家柄の伝統を継承されている方ですから、奥様も、調教師様をお信じになって、
成されるがままに、あらゆる異物を挿入されて膣を鍛え上げれば、必ず成し遂げられることです、
まったく、奥様の淫乱な奴隷女としての自尊心と精進次第のことなのです、
先ほど、半玉と申し上げましたが、残りを申し上げましょう、
奥様が稼ぎを上げる最大の相手が男性であるというのは、言うまでもないことですが、
奥様には、女性を相手として色事を行って頂くことも当然の行為としてあるのです、
資産家の女性には、隠れた同性愛者が多いからです、
女同士には、女特有の愛欲行為のあらわし方がありますが、それは、私たちが仕込んで差し上げます、
女同士の愛欲の技巧をもってすれば、唇と舌を使った愛撫は、どのような男性に対しても、ほぼ完璧に果たせます、
奥様へ差し出されてくる陰茎は、すべてが赤々と剥き晒した見事なものばかりであるとは限りません、
なかには、皮を被ったままのものもあれば、児童のように矮小なものや、反り上がらないものもあるのです、
奥様の美しい形をした柔和な唇としなやかで甘美な舌先は、
それぞれに応じて、満足を遂げさせることをしなければならないのです、
女同士の愛欲というのは、男性のように、急激に高まって放出されると休憩してしまうというようなものではなく、、
喜びの絶頂へ昇りつめる一歩手前で戯れ合うことを延々として行うことができるほど、官能の自在があるものです、
私たちは、奥様にそれを教えて差し上げます、
実は、私たちは話していたのです、奥様と初めてお会いしたときから、
奥様の清楚で美しく品性のある顔立ちや優美な女の曲線をあらわす身体付きの蠱惑ばかりでなく、
奥様の漂わせる、その何とも言い難い、女性らしい気高さに、惹かれてしまっていることをです、
女が女に思いを寄せるということでは、私たちは、それでしか生きられない性質ですから、
いい加減なことを言っているつもりはありませんが、奥様は、本当に美しく素晴らしい方だと思っています、
その素晴らしい奥様が正真正銘の淫乱な奴隷女に生まれ変わることへのお手伝いができることであれば、
私たちにとって、それ以上の喜びはないということなのです、
奥様にあっては、数多の官能の喜びを得たなかで、私たちのものが最高であったと思って頂きたいことなのです、
それと言うのも、私たちとのうっとりさせられるように甘美な蜜月の後は、
奥様には、口と尻にしか関心を抱かない男の同性愛者三人と床入れをさせられることが待っているからです、、
奥様は、二人から口と菊門を陰茎で、三人目からは膣を張形で、同時に責められるということをされますが、
それは、三人が場所を変えて、代わる代わる行うことで、一昼夜続けられることです、
口と菊門が鍛えられるために行われることですが、奥様は、官能の絶頂へ押し上げられたまま、
降りることは許されずに、緊縛された全裸を全身で打ち振るわせながら、恍惚状態にいさせ続けられるのですから、
これで、ほとんどの女は、自意識を放棄させられたありようへと向かわせられ、、
淫乱な奴隷女そのものに成り変ってしまうことになるのです、
そうなると、奥様も、私たちとの蜜月を忘却の彼方とされ、私たちが思慕を抱いていたことも思い出せなくなるのです、
奥様にあるのは、美しい顔立ちと優美な姿態をもって、
性愛の技巧と官能の絶頂を見事に発揮することのできる、多額の金銭を産む女であるありようしかないのです、
ここへ来た女は、すべてそのようになっていったのですから、奥様も同じことなのです、
従って、半玉の最終仕上げである、犬を相手として、獣姦を行うことをさせられるに至っても、
奥様は、差し出される犬の陰茎に喜びをあらわとさせ、甘美な舌先の技巧を使って舐めまわし、
膣へ挿入されるに及んでは、激しく官能を高ぶらせて、喜びの絶頂へ到達する女でしかなくなっているのです、
そうして、一人前となられた奥様は、
上げられる稼ぎが可能な限り生かされ続ける、使役されるだけという美しい獣の家畜となるのです、
これが奥様が色道を歩まれて実現される<予定調和>ということなのですわ。
このような実現であっても、奥様は、<民族の予定調和>と言われた荒唐無稽なこと、
まだ、信じられるとお考えなのですか。
そうだとしたら、私には、そのようなことを信じられる奥様が信じられないくらいの気違いだと思います、
物語や映画や芝居なら、どのように過酷な運命にあっても、
一番良いところで終わりにすることができることです、それが読者や観客の求めていることであるからです。
しかし、奥様がお客様から求められている現実は、満足を何処で果たすかということでは変わりはありませんが、
奥様は、その実現のために、自由をまったく許されない、思いも、肉体も、拘束されている生活を続けるのです。
そのことを見事にあらわしているのが、いま、そのようにして、
生まれたままの全裸へ掛けられている縄の緊縛ではないですか!
それでも、その<民族の予定調和>とやらが信じられることなのですか!」
じっと聞き続けている様子を窺い知ることはできたが、雅子夫人から、返ってくる言葉はなかった。
美しい顔立ちを蒼ざめたようにこわばらせて、綺麗なまなざしを逸らさせているだけだったのだ。
ふたりのやくざ女にしてみれば、夫人から答えなど期待していなかった、夫人が何を考えていようと構わなかった、
ただ、夫人が調教師様の作った筋書き通りの女として生まれ変わってくれれば、それでよかったのだ。
その筋書きを話しただけのことだった。
与えられた仕事をきちんとやり遂げさえすれば、この戦時下の物資の貧困としている非常な状況にあって、
少々の贅沢な食べ物と暖かく眠ることのできる場所と明日の仕事があるという、生活の保証があったからだった。
「奥様に掛けられている縄は、奥様がどのように考えようと、
調教師様の色道を教え込まれるための緊縛に過ぎないってことですわね。
さて、奥様、これが何かおわかりになるかしら?
先ほど、
奥様がお休みになられるときに、
調教師様から申し付かった<お決まり>が行われると聞かされましたでしょう。
これが、その<お決まり>の道具なのですよ」

そのように言って、年上のやくざ女が手のひらに示したものは、
青い色艶を帯びた鶏卵の形をした大小ふたつの磁器製の物体だった。
「これは、通称、淫乱卵と呼ばれているもので、
大きい方を膣の方へ、小さい方をお尻の穴の方へ入れて、使われるものなのです。
入れられて体温で温まってくると、青い卵が淫乱にうごめき始めて、激しく官能を高ぶらさせることをするのです。
奥様には、淫らな奴隷女であることの自覚を片時も忘れないでいて欲しいのです。
奥様の膣とお尻の穴の吸引と収縮が鍛えられるために、
お休みのときには毎回、挿入されていなければならないもの、ということです」
雅子夫人は、思わず、まなざしを青い色艶のある物体の方へ投げ掛けていたが、
やはり、言葉は何もなく、それは、ただ、置かれている境遇をじっと耐えているという様子があるばかりだった。
年下のやくざ女が柱へ繋いでいた縄を解いて、夫人を縛り上げている縄尻を取ると、
「さあ、奥様!
そのしなやかで綺麗な両脚を開いて下さいな!」
と強い語調で言うのだった。
雅子夫人は、華奢な両肩をぶるっと震わせるようにしたが、言われるがままの格好になっていくのだった。
「そうじゃない!
もっと、脚を大きく開いて、前屈みの姿勢になるのよ!」
そのときには、夫人の背後へまわっていた年上の女の方も、強い語気で畳み掛けているのだった。
淫乱な奴隷女は、言い付けられるままに、おずおずと緊縛された裸身をその格好とさせていくだけだった。
年下の方が相手の優美な腰付きのくびれへ麻縄を二重に巻き付けて、背中の方で縄留めを行っていくと、
股間の箇所がさらけ出されている夫人の優美な尻を前にした、年上の方の指先によって、
大きい方の卵が妖美な花びらへ押し当てられ、一気に押し込まれていくのだった。
さらに、小さい方の卵が可憐なすぼまりを見せる菊門へ、繰り込まされるように押し入れられていくと、
腰を縛った縄の残りがそれらへ蓋をするような具合に、尻の亀裂から前部の肉の合わせめまで掛けられていった。
年下のやくざ女は、夫人の前へまわると、股間へ掛けさせた麻縄をくいっ、くいっと引っ張り上げながら、
漆黒の色艶が艶めかしい靄となって覆い隠している、ふっくらとした女の小丘が盛り上がるほど、
激しく縄を割れめへと埋没させて、可愛いらしい形をした臍のあたりの腰縄へ繋ぎ留めていくのであった。
夫人は、そのようにされても、うめき声ひとつもらすことはなかった。
ふたりのやくざ女から、緊縛の裸身をしゃんと立たせられ、股間の縄の出来具合を確かめられるように触られても、
羞恥の底へ落されて上がれないというように、美しい顔立ちを真っ赤とさせて俯かせているだけであった。
「これで、宜しいですわ。
では、牢に入って、ゆっくりとお休みなさいませ」
年下のやくざ女は、夫人を縛った縄尻を取って、相手のなよやかな肩先を小突くようにして歩かせたが、
年上の女は、すでに、頑丈な白木が格子に組み合わされた牢舎の扉を開いて、待っているのであった。
夫人は、背中を突き飛ばされてなかへ入れられると、重々しい響きと共に、扉を閉められ錠を下ろされた。
「お休みなさい、奥様、よい夢をご覧になられるといいですわね。
明朝は、その緊縛姿で、大勢のやくざ衆が眺めているのを前にして、
女の羞恥の翳りである恥毛をすっかりと剃り上げられることから始められますので、宜しく」
そのように言い終わると、ふたりの女は、笑い声を上げながら、
<民族の予定調和>ですって、まったく馬鹿なことを考えるものねえ、何の役にも立ちやしないじゃないの、
と言い合いながら、部屋を後にしていくのであった。
ひとりぽつねんと牢のなかへ取り残された雅子だった。
部屋のなかは、すでに、たったひとつの高い窓から月明かりが落とされているだけの薄闇にあり、
物音は聞こえていたが、くぐもったその響きは、遥か彼方の地上を思わせるような底深さを感じさせるものだった。
雅子は、牢の出入口とは反対側の壁へ近づいて、そこへ縄で緊縛された全裸を横座りの姿勢とさせて腰掛けさせ、
額を冷たい壁へ押し付けるようにしながら、両眼を閉じて安らぎを得ようとしていた。
激しく動揺させられてきた思いと同様、
疲労困憊とさせられていた肉体は、ただ、休息を求めているのであった。
身動きの不自由な身体ではあったが、じっとしていれば、安らぎが得られると思えたのだ。
だが、それも、ほんの束の間の思いであった。
膣と菊門の奥へ含み込まされたものが異物感という鬱陶しさを感じさせていたことは事実であったが、
それが異様な膨張を感じさせるような熱い感触で、おぞましさをさらけ出してきたのだ。
雅子は、思わず、両膝をぴったりと閉じ合わせて、艶めかしい純白の太腿へ力を入れてこらえようとした。
しかし、そうすることは、返って、美しい靄のような漆黒の繊毛へ分け入って、
深々と女の割れめにもぐらされている麻縄をいっそう食い込ませるようにさせることだった。
縄の強い圧迫は、愛らしい敏感な小突起を擦られ、妖美な花びらを押し開かれて果肉へ密着し、
菊門を撫でられていくような感じさえ伝えてくるものがあるのだった。
だが、そうだからと言って、じっとなったままでいるだけでは、膣と肛門の奥へ含ませられた卵は、
どんどんと灼熱としたおぞましさをあらわとさせてくるばかりであった。
雅子は、額に脂汗を滲ませ、美しい眉根を寄せ、両眼をしっかりと閉じて、
綺麗な形の唇を噛み締めるようにしながら、こらえ続けるしかなかったのだった。
やがて、灼熱とした卵が膨張したような感じばかりでなく、まるで、卵のなかに生き物が入っているかのように、
淫靡にうごめいている感触を伝えてくるようになると、官能に火をつけられた疼きが始まるのだった。
股間の甘美な疼きは、閉じ合わせている純白の太腿の付け根から、逆撫でされるような急激さで走ってくるのだった。
「ああっ、ああっ、ああっ」
双方の太腿の内側へ懸命に力を込めて、抑えつけるようとするのであったが、官能の疼きの突き上げは激しく、
思わず、悩ましいうめき声が自分でもびっくりするくらいの大きな声音で上がるのだった。
「ああっ、いやっ、いやっ」
膣と肛門から両輪で駆け上がろうとする官能のうねりは、ふたつの卵をさらにうごめいた感じのものとさせていた。
卵の淫猥なうごめきを止めさせれば、激しく疼いて掻き立てられる官能も、少しは和らぐのではないかと思い、
膣と肛門の内奥へ意識を集中して、吸引と収縮を操作しようと試みているのだった。
だが、そうすることは、官能を和らげさせるどころか、煽り立てるということでしかなかったのだ。
「ああっあ、ああっあ、ああ〜ん」
煽り立てられる官能は、どんどんと昇りつめさせられていくものでしかなかったのだ。
雅子は、もう、その官能のうねりへ身を任せるしかないと思っていた、その方が楽になれることだと思っていた。
麻縄で緊縛された全裸から吹き出す汗は、したたり落ちるほどの灼熱を肉体に感じさせていたが、
膣と肛門から噴出してしまうものを懸命になってこらえる激烈な疼きの快感は、
もはや、一時でも早く、喜びの頂上へと行き着きたいと望ませるものでしかなかったのだった。
しかし、頂上へ押し上げられる、あと僅かという間際で、官能は踏み留まってしまった。
雅子は、膣と肛門へ精一杯の吸引と収縮を与えて、押し上げようとするのだったが、昇りつめられないのだった。
昇りつめられない官能は、重力に牽引されるかのように、そのまま、ずるずるとすべり落ちていくのであったが、
それで終息してしまえば、ひと安心があるはずだった。
だが、含み込まされたふたつの卵は、落ちていく中途から、再び、官能を煽り立てるのだった。
今度は、重力に抵抗して上昇しようとするように、官能が押し上げられていくのだった。
到達することのできない、果てしない上昇と下降が繰り返し続けられることだったのである。
絵画表現に喩えて言えば、M.C.エッシャーの『上昇と下降』にあるような不分明の意識の擾乱があるのだった。
連なった僧たちは、天国の認識へ向かうために階段をぐるぐるとまわり、上昇を終わりのないものとして続けている、
だが、同じ階段は地獄の認識へ向かわせるためにぐるぐるとまわらせ、下降を終わりのないものとさせている、
いや、まったく、その逆のことがそこにはあるのか、不分明という相反と矛盾の並置という擾乱、
人間の性的官能のありようは、
上昇と下降という意識が相反と矛盾という認識と同義であることを露呈させるのである。
最高潮へ昇りつめようとする喜びの快感は、降ろされようとする苦悶や苦痛と並列させられることで、
あたかも、与えられている苦悶や苦痛が喜びの快感であると知覚させることをするのである、
この苦悶や苦痛を喜びの認識として、加虐・被虐の相対的意味合いと結び付けられることがされれば、
加虐されることで性的快感が生まれ、被虐されることで性的快感が生まれる、という考えが成立することになる。
さらに、加虐されることや被虐されることに整合性的な心理的な意味付けを付加されていけば、
人間は、加虐・被虐の状況にあることで、性的快感を感じる必然があるということになる。
この誤謬は、性的感覚が不分明という相反と矛盾の並置という擾乱であることをおざなりとしていることで、
残念ながら、そうした加虐・被虐の相対的二元論にある限り、分かりやすいことのように思えることであるが、
エンターテインメントとしてあることならともかく、学術であればそれで済まされることではない。
加虐・被虐のありようが神学的な意味にまで結び付けられることであれば、
そのこんがらがった糸を解きほぐすことは容易なことではないように見えるが、
人間の言語による概念的思考というのは、整合性を求めることを属性としていることを思い返せば、
こんがらがった糸を解きほぐすことは、そのような思索の展開へ持ち込んだ方々へ丁重にお任せして、
上昇と下降という意識が相反と矛盾という認識と同義である点から、
結び、縛り、繋ぐという縄掛けを新たに始めればよいということは、ほんの始まりに過ぎないことである。
それは、神を信じている者が考えれば、性的感覚も超越的神秘とされるような知覚であるかもしれないが、或いは、
信じてもいない神を信じている者が考えれば、その超越的神秘は性の神秘とされることであるかもしれないが、
<民族の予定調和>の表象としてある雅子には、前提となる超越的存在という神があり得なかったから、
もう、気が変になりそうなくらいの擾乱に動揺させられていたことに過ぎなかった。
何とか意志を立て直して、せめて、官能が成就するように、必死の祈祷をしようとさえ思うのであったが、
何に対して祈祷を行うというのであろうか。
超越的存在という神が前提とされていない<民族の予定調和>には、
もとより、かなえられるための祈祷自体があり得ないことである。
あり得るとすれば、雅子は、みずからに対して、加護や恵みの救いを求めるということがあるだけだった。
そのみずからというものは、如何にしても、みずからでは解決のできないありさまに晒されているだけであった。
人間が人間みずからにおいてのみ、すべてを解決しようとすること、人間が神のような想像力を持つということ、
それは、ただの人間の思い上がりであり、人間の浅ましい低能を知らない者が妄想しているだけのこと、
みずからは、みずからに対して何もできない、という人間の創始以来の必然があるだけということ、
雅子は、そのように思い知らされると、すすり泣きを始めているのだった。
やがて、その声音は、泣きじゃくるものへと変わっていくのであったが、
泣いたからと言って、答えの出ることでないことは、まったく変わらないことだった。
激しく高ぶらされ続ける官能ではあった、決して思いの遂げられない、果てしないもどかしさのあることだった、
にもかかわらず、雅子は、疲労困憊となった思いと肉体から、泣き疲れて、寝入ってしまったのだった。
そこで見た夢であった。
場所は、廃屋同然の権田孫兵衛の下宿部屋だった。
権田孫兵衛は、禿げ上がった真っ白な頭髪に歯のないくぼんだ口もと、どぎつい目つきや鋭い鷲鼻、
皺だらけの小柄で痩せ細った身体が険しい老いをあらわとさせた老人の風貌で、雅子の前へ立っていた。
雅子は、美しい顔立ちを毅然とさせて、生まれたままの優美な全裸の姿をあらわとさせていた。
これから、自然の植物繊維から撚られた麻縄で縛り上げられ、<民族の予定調和>の表象となるのだった。
権田孫兵衛の巧みな縄掛けが行われ、後ろ手に縛られ胸縄を掛けられ、
股間へ厳しくもぐり込まされる股縄まで施された雅子は、自由を奪われた拘束の女の姿をもあらわしていた。
縛られた雅子の縄尻を取ったのは、権田孫兵衛ではなかったのだ。
部屋へ招き入れられた三人のやくざ衆のひとりにであった。
<民族の予定調和>の表象にするからと言って、雅子を緊縛姿にしたのは、
自由を奪われた拘束の女にするためだったのだ。
生活に困窮していた権田孫兵衛は、雅子を<淫靡屋敷>と呼ばれている女郎屋へ売り払ったのだった。
雅子は、泣き叫んで、あらん限りの力で、緊縛の姿態を暴れさせて、連れていかれるのを嫌がったが、
助けを求めても、権田孫兵衛は、まなざしも動かさず、ただ、険しい老いの風貌をあらわとさせているばかりだった。
雅子は、三人の屈強の男たちの前では、縄で縛られた、ただのか弱い全裸の女でしかなかったのだ。
連れていかれた<淫靡屋敷>の大広間へ、ひとりぽつねんと立たされた雅子は、
立派な女郎として仕込まれる手始めとして、
生まれたままの全裸へ掛けられた縄の緊縛姿のまま、大勢のやくざ衆が眺めているのを前にして、
女の羞恥の翳りである恥毛をすっかりと剃り上げられることから始められるのであった。
そこで覚めた夢だった。
朝の陽光が高い窓から、太い帯状となって床を照らして出していた。
雅子は、悪夢を見た恐ろしさで、全身から悪寒の汗を吹き出せていたが、
股間の下の畳には、もらした小便のように、女の花蜜のしずくが水溜りを作っているのだった。
そして、悪夢がまさに現実のものであることを、部屋にあらわれた、ふたりのやくざ女が明らかとさせていた。
そうして始められた、雅子夫人を淫らな奴隷女に仕立て上げるための本格的な調教であった。
伝統の継承者である調教師様が筋立てた<予定調和>実現のための色道であった。
ふたりのやくざ女に引き立てられて、<淫靡屋敷>の大広間へ連れていかれた雅子夫人は、
股縄を解かれると、膣と肛門へそれぞれ含み込まされていた青い卵二つを吐き出させられた。
それから、床の間にある柱を背にしてがっちりと繋がれると、大勢のやくざ衆が眺めているのを前にして、
女の羞恥の翳りである恥毛をすっかりと剃り上げられることをやくざ女たちの手によって行われるのであった。
雅子夫人は、その美しい顔立ちに深い憂愁の色を滲ませて、されるがままになっているだけだった。
甘美な官能を疼かされた一夜の肉体には、ふっくらとした女の小丘を鋭利な刃物で逆撫でられる感触は、
ぞくぞくとざわめかせる不安でおぞましい意識を、むしろ、気持ちのよい刺激と感じさせるものがあるのだった。
白い小丘へあらわとなった深々とした妖しい美しさを漂わせる切れ込みを見つめて、ふたりのやくざ女は、
うっとりとなった綺麗な顔立ちさえあらわしている夫人に、顔を見合わせて皮肉な笑みを浮かべていた。
何を考えようとも、女は、女の肉体を持った動物に過ぎないから、家畜の奴隷になるのだ、と思っていたのだ。
剃毛されて少女のようになった箇所へ似合わせるように、その美しい黒髪も三つ編みのおさげにされていったが、
成熟した女の色香を匂い立たせる夫人の顔立ちと肉体には、異様とさえ感じさせるありさまがあるのだった。
だが、その異様こそ、類稀なる妖美として、文学的想像力を掻き立てられるという老人作家の巨匠の要望であった。
官能に淀んだ熱いまなざしで眺め続けていたやくざ衆が立ち上がって、夫人の緊縛姿の前へ居並び始めていた。
それから、くっきりと鮮やかにさらけ出された可憐な女の割れめへ、やくざ衆のひとりひとりから、
思いの込められた唇と舌先の愛撫が成されていくのであったが、唇で吸ったり吹いたりする者もいれば、
伸ばさせた舌先を底深い割れめへもぐり込ませる者もあり、十人十色という執着の愛撫があらわされるのであった。
始めは、じっとこらえていた雅子夫人だったが、次第に高ぶらされていく官能から、
ああっ、ああっ、と甘い声音を上げ、やるせなく、悩ましく姿態を悶えさせていったが、
夫人のあふれ出させた花蜜のしずくが純白のなまめかしい太腿の内側を濡らすようになると、男たちの舌先は、
それを掻き出すように深く割れめへともぐり込まされ、熱心な唇は、激しく吸い出しているものもあった。
ぬめりを帯びて長く伸ばされた男の舌先は、その股間へ反り立ったあらわれのように尖らせられて、
割れめを分けてもぐり込んだ先に立ち上がっている敏感な真珠の小粒さえ舐め上げていた。
雅子夫人も、ついに、煽り立てられる官能から、突き上げられるようにして、喜びの絶頂を極めていくのであったが、
触れることを待たされていた残りのやくざ衆は、今度は、絶頂からすべり落させない激しい舌先の愛撫と執着で、
さらに、もう一度、室内を震わせるくらいの甘美なよがり声を上げさせて、夫人を絶頂へと至らせるのだった。
床柱へ繋がれた夫人の緊縛の全裸は、喜びの痙攣をぴくぴくと全身へ走らせて崩れていたが、
居並ぶやくざ衆とやくざ女たちは、その女の様子を満足そうな笑みを浮かべて眺めていた。
やがて、官能が終息すると、風呂場へ連れていかれる雅子夫人だったが、胸縄は解かれたものの、
後ろ手に縛られた縄はそのままで、縄尻を柱へ繋がれて、聾唖の下女から、身体を隅々まで洗われるのだった。
そして、少女の可憐さを引き立たせるような薄化粧が施され、後ろ手に縛られ胸縄を掛けられた姿となって、
著名な老人作家の待っている部屋へと引き立てられていくのだった。
風情のある着物姿の老人作家は、雅子夫人をひと目見るなり、
わしが出会ったおなごのうちで最も美しいと顔をほころばせ、
床柱を背にして立たせた姿勢で繋がせると、その前へどっかりと腰掛け、眺めやることを始めるのであった。
老人作家の鋭い巨匠の眼光は、美しい黒髪を三つ編みのおさげに結った夫人の麗しい顔立ちから、
上下の胸縄で突き出された綺麗な乳房や愛らしい乳首、優美なくびれの曲線を描く腰付き、
純白の艶めかしい太腿、しなやかで美麗に伸びた両脚、そして、豊饒な女の柔和さに膨らんでいる小丘、
そこにくっきりと鮮やかな切れ込みをあらわとさせている、少女を思わせる可憐な生々しさのある割れめに至るまで、
得意とする言語は一切つぶやかず、舐めまくるように、繰り返し、繰り返し、見つめ続けるだけのものであったが、
それは、ワーグナーの楽劇で言えば、『トリスタンとイゾルデ』の長さに匹敵する、四時間にも及ぶまなざしだった。
老人作家は、雅子夫人のエロスの姿態から吸い取ったエキスで、想像力を羽ばたかせ続けているのであった。
老人にとっては、誠に慣れた行為のようだったが、
その長い時間は、夫人に疲労をもたらすと同時に、尿意までをも誘うものだった。
ついに、我慢がし切れなくなり、巨匠の老人作家へ身体の逼迫した事情を告げると、おまるが持ち出されてきた。
そこへしゃがんでしなさいと、まるで、少女に語り掛けるような気軽さで言われると、
床柱へ繋いでいた縄を解かれるのであったが、縄尻はしっかりと手にされたままだった。
羞恥に染めた美しい顔立ちをそむけながら、おまるへしゃがみ込んで放尿を始める夫人であったが、
老人作家の方もしゃがみ込んで、女の股間から噴き出す銀のしずくをじっと覗き込むようにしているのだった。
それから、夫人を引き立てるようにして、艶めかしい朱色の夜具の敷かれた次の間へ連れていくと、
緊縛の姿態を布団の上へ仰向けにして横たわらせ、美麗な両脚を大きく割るようにして開かせ、
きらめくしずくの残る放尿の箇所を舌で舐め始めるのであったが、それが老人作家の舌先の著述の始まりだった。
老人というものがひとつの物事に執着するのは、これほどのものなのか、
或いは、性に対する未練が生であると言えるような、これほどの女に対する男の執着があるから、
その想像力から作り出される小説は、幅広い読者を持つ、人間を描く文学の巨匠のものと評価されることなのか、
若く活きのよい作家がおしなべて早漏としか思えないような、萎びた陰茎が決して思いを遂げることのない、
想像を絶するような、丁寧で、丹念で、執拗で、奥深い、四時間に及ぶ舌先の愛撫があるのだった、
それは、これまた、ワーグナーの楽劇で喩えれば、『神々の黄昏』にも匹敵する饒舌の長さであった。
三つ編みの可憐なおさげの黒髪、清楚で美しい顔立ちの綺麗な眼、優しい鼻、美麗な唇、可愛らしい耳、
ほっそりとした首筋、柔和な胸もと、華奢な両肩、流麗な両腕、繊細な指先の両手、綺麗に隆起したふたつの乳房、
愛らしい乳首、大人しい鳩尾、優美にくびれた腰付き、なめらかな腹部、愛くるしい臍、ふっくらとした優雅な小丘、
妖美に切れ込んだ深々とした割れめ、ちっちゃな敏感な小突起、色鮮やかな果肉を覆う艶麗な花びら、
いじらしくすぼまる菊門、柔らかな艶めかしさの太腿、しなやかで流麗な両脚、気品のある両足、
すんなりとした背中、色っぽい亀裂に割られた妖艶な尻、それらのことごとくへ干からびた土色の舌を這わせて、
縄で緊縛された女の全裸を舐めまくることをするのだった。
若く活きのよい作家があらわす饒舌の文体など赤子の泣き叫びとしか思えないような
老人作家の舌先こそは、手にする筆にも、股間の筆にも劣らない、文学賞的な表現力をあらわす自己顕示であった。
やくざ衆が十数人掛かりで行ったことを独りでやってのける独創は、
その巨匠の表現力の前では、雅子夫人も、ひとりの脆い女の読者であるに過ぎないことを示されるのだった。
全身を隅々まで執拗に舐めまわされているうちに、始めはおぞましいと感じさせられていたことも、
我知らずに官能を高ぶらされ、艶麗な花びらから花蜜のしずくをもれ出させ始めると、
老人の干からびた舌先は、潤いを求めるように、舐めては掬い、掬っては吸って、また舐めるをひたすら繰り返し、
開き切った花びらの奥の鮮烈な果肉までがあらわとなると、今度は、そこへ差し入れられてくるのであった。
差し入れられた舌先がさらにもぐり込まされて、丹念な抜き差しが飽くことなく行われ始めると、
夫人は、高ぶらされ、煽り立てられ、燃え上がらせられた官能から、喜びの絶頂を遂げさせられていくのであった。
しかも、三度までも読者を官能の喜びへと押し上げる感動を与えたのであるから、巨匠というのは誇張ではなかった。
その頃は、さすがに老人作家も疲れを感じたらしく、
風情のある着物姿のまま、恍惚の余韻で姿態を痙攣させている雅子夫人の全裸へぴったりと添寝をすると、
ささくれ立った片方の指先を柔らかで愛らしい女の割れめへ深々と差し入れて、眠りへと入っていくのだった。
夫人も、激しい疲れを覚えていたから、一緒になって眠るほかないことだったのである。
雅子夫人が目覚めたとき、すでに夜は明けていたが、となりに老人作家の姿はなかった。
夫人は、ふたりのやくざ女に添われながら、風呂場へと連れていかれた。
丹念な入浴が終わると、若奥様風の清楚で品のよい髪形に結い上げられ、優雅さを漂わせる綺麗な化粧をされ、
年下のやくざ女から、生まれたままの全裸の純白に輝く柔肌へ、縄の意匠を施されるのであった。
綺麗な乳房から優美な腰付きへかけて、幾つもの菱形の紋様が綾を織り成す縄が掛けられ、
臍から縦に下ろされる縄は、翳りをまったく奪われた生々しい割れめへともぐらされていったが、
その縄には、股間にある三つの敏感な箇所を刺激するための瘤が作られていて、尻の上の腰縄で縄留めがされた。
やくざ女たちは、感心したように眺めながら、夫人の柔肌を彩る美麗な緊縛の妖しい美しさは、
女である私たちが眺めても、うっとりとさせられるものですから、殿方には、たまらないありさまがあるはずです、
それと、その股縄は、官能を高ぶらせるばかりか、尿意をも高めるものであるのですよ、と説明するのであった。
そして、雅子夫人は、聾唖の下女によって、緊縛の裸身の上へ瀟洒な着物を着付けられていくのであったが、
ふたりのやくざ女は、晩に催される見世物に夫人が出演すること、その下稽古がこれからあることを話した。
美しく着飾った雅子夫人は、さすがは華族の奥様であったという、艶麗と優雅と気品を漂わせていた。
しかし、そのような姿にあっても、淫らな奴隷女の身分に変わりはなかったから、後ろ手に縛られるのであった。
その縄尻を取られ、引き立てられるようにされながら、大広間へと向かわされるのであった。
すでに、十人のやくざ衆が観客となって、料理のない小卓をそれぞれ前にして、雅子夫人の登場を待っていたが、
あらわれた夫人の清楚で美しい品性のある顔立ちと匂い立つ女の色香の艶麗と優雅の着物姿には、
思わず、演技とは言えないため息をもらしているのだった。
客席より一段高く作られた舞台の上に立たされた夫人の後ろ手に縛られた縄が解かれると、
年上のやくざ女が丁寧な会釈をして、「貴婦人の優雅なおしっこ」を開演させて頂きます、と口上を述べていた。
それから、雅子夫人に対する、演技指導が始まった。
本日、お出でになる十人ほどの観客の皆様は、財産こそ蓄えて大いに持っておられますが、
都会の貴婦人などとは縁遠い地方の豪農の方々です、最初に、皆様へご挨拶をするために、お客様の方へ降りて、
お一人お一人に優雅で丁重なお酌をしてきなさい、終わったら、舞台へ戻って来るのです、と告げられた。
雅子夫人は、少しためらいを見せたが、着物の下の乳房と腰付きと股間へ掛けられていた縄は、
逆らったところで、どうにもならない身体にされているのだ、
と思わせるに充分な官能の高まりを意識させているのだった。
夫人は、畳へ緩やかに膝をついて腰掛けると三指をついた丁寧な会釈をし、
小卓にある徳利を取り上げると優美な仕草で差し出されている杯へと注ぎ、呑み終わるのを待ってから、
また、丁寧な会釈をして、となりへと移っていくのであった。
そのようにして、居並ぶ十人のやくざ衆に対して、同じことを繰り返していくのであったが、
立ったり、座ったり、正座の姿勢で腰掛ける度に、股間へ掛けられている三つの縄の瘤がうごめいて、
その掻き立てられる官能の疼きに注意を奪われていると、酌がおろそかにさえなってしまうのであった。
そればかりか、一度は、注ぎ過ぎてこぼしてしまったのだ、すると、
奥様、これは下稽古だからいいけれど、本番では阻喪は絶対に許されないことよ、それを承知してね、
とやくざ女から、叱りつけられるのだった。
それに対して、雅子夫人は、ごめんなさい、注意致します、と素直な態度をあらわすのであったが、
誰が見ても、健気に行おうとしているその素振りには、愛らしさの漂うものが感じられるのだった。
夫人が舞台の方へ戻ると、次の演技指導が成された。
これから、奥様には、着物を脱いで全裸の姿となってもらいます、
但し、お客様の官能を高ぶらせる妖艶な立ち振る舞いで、身に着けている着物を脱ぎ去ることをするのです、
奥様のあらわす脱衣が悩ましければ悩ましいほど、あかさまとされた全裸へ施された縄の妖美は効果的なのです、
さあ、しっかりとおやりになって、素晴らしい媚態を見せつけてね、と発破をかけられるのだった。
みずからを見つめる男性の前で、その官能を掻き立てる脱衣など行ったこともなかった雅子夫人であった。
だが、縄をまとわされた柔肌の圧迫感は、官能を掻き立て、股間へもぐらされている縄は、さらに煽り立て、
女の花蜜のしずくさえもれ出させ始めていたことは、夫人にも感じられ、その気にさせるものがあったのだった。
その高ぶらされている官能のままに、思いをそのような淫靡なものとさせ、
脱ぎ去る着物のひとつひとつに思いを込めていけば、媚態をあらわす脱衣ができるように感じられるのであった。
夫人が羞恥でためらうように、悩めるように、姿態を妖しくうねりくねりとさせながら、
もったいぶらせた様子さえ滲ませて始めた脱衣の様子に、眺めている者たちは、驚きの眼を見張るのであった。
特に、やくざ女たちにしてみれば、<民族の予定調和>というわけの分からないことを喋った夫人が、
命じられるままになって、見事なくらいの扇情的な演技を進んで行うことに対して、納得のいかないものがあった。
夫人は、やはり、<民族の予定調和>ということを信じていて、そのために淫らな奴隷女を引き受けていて、
生き続けることをしていることだとしたら、まったく、何という女性なのだろう、と考えさせられるのだった。
だが、夫人が歩まねばならない色道は、このような程度のことでないことは、事実なのであった。
豪奢な帯が解かれ、瀟洒な着物が肩からすべり落され、艶めかしい長襦袢、柔和な肌襦袢が脱ぎ去られ、
水色の妖艶な湯文字までもが取り去られていくと、徐々にあらわれ始めた潤いに輝く純白の柔肌は、
あたりを明るませるくらいにまぶしいものとさせていたが、その柔肌へ施されている麻縄の意匠は、
足袋が外されて、生まれたままの全裸がさらけ出されたときには、
妖美な衣装をまとった艶麗な女をあらわとさせているのであった。
生まれたままの全裸を晒した女はこよなく美しい、だが、その全裸を縄で縛られた女はことさらに美しい、
そのように表現されることが文字通りであることを眼前とさせているのであった。
眺めていたやくざ衆からも、おおっ、という歓声が上がっていたが、これも観客の演技とは思えないものがあった。
演技指導は、奥様、今度はその見目麗しいお姿でお客様のところへ降りて、あらん限りの媚態を発揮されながら、
お一人お一人と三三九度の杯を交わされることをなさって下さい、と投げられていた。
純白に輝く柔肌には、綺麗な乳房から優美な腰付きへかけて、
幾つもの菱形の紋様が綾を織り成す縄の意匠が施され、臍のあたりから縦に下ろされては、
翳りをまったく奪われた生々しい割れめへもぐらされている股縄の妖美を匂い立たせ、
雅子夫人は、腰から繋がった縄尻を年下のやくざ女に取られて、しずしずと客席の方へ向かわされるのであった。
やくざ女が持参している柄の付いた黒の漆塗りの酒器で、やくざ者が手にしている赤の漆塗りの杯へ水が注がれ、
三度飲み干すことが行われると、今度は、その杯を手渡された夫人が同じことをさせられるのであった。
飲み終わった夫人の綺麗な乳房の片方へ、突然、相手の手が触れてきた。
夫人は、思わず、身を引こうとしたが、そのとき、やくざ女は、激しく叱りつけるのだった。
お客様はすでにお酒がまわっているのよ、奥様は、乳房ばかりでなく、お尻や股間の箇所さえ触れられたって、
避けては絶対に駄目よ、そのような無礼な振舞いをしたら、お客様は臍を曲げてしまうわ、
奥様は、精一杯の媚態をあらわして応えるのよ、そのようにしっかりとやりなさい、と指導されるのであった。
雅子夫人は、いたらない振舞い、ごめんなさい、と詫びると、相手から乳房を優しく揉まれるままに、
悩ましそうな流し目をくれて、綺麗な口もとへ微笑みさえ浮かばせて、精一杯の媚態をあらわそうと努めるのだった。
その様子に、いいわよ、その調子よ、と言ってやくざ女たちもうなずいていた。
夫人は、そのようにして、十人のやくざ衆を相手にして、乳房や乳首や尻や女の割れめを触られながら、
三三九度の杯を交わし終えるのであったが、漆塗りの小さな酒杯とは言え、水三十杯は少ないものではなかった。
しかも、下腹へたまる感触は、割れめへ埋没するように掛けられている麻縄の三つの瘤の刺激で、
いっそう意識させられるものとなっていた、股縄が尿意を高めるものだと言われた意味がそれだったのだ。
舞台の上へ戻らされた夫人は、後ろ手に縛り直されると、縄尻を年下の女に取られながら、
次は、この見世物の最高の見せ場、貴婦人の優雅なおしっこよ、
奥様は、お客様の方を向いてしゃがみ込み、その前へ置かれた手桶めがけて放尿を果たすのよ、
と年上のやくざ女に言われて、割れめへはめ込まれていた縄を外されるのだった。
眼の前の床へ手桶が置かれると、後ろ手に縛られた縄尻をけしかけられるように揺さぶられた。
雅子夫人は、美しい顔立ちを真っ赤に火照らせ、困惑した表情を浮かばせ、立ち尽くしたままだった。
その場にいる者のすべての熱い視線がみずからのくっきりとした割れめの箇所を見つめているのであった。
さらけ出させている全裸というだけで女の羞恥であった、
翳りを奪われた女の小丘をあからさまとさせていることは、さらなる羞恥であった、その上に、
大勢の見ている前で、その全裸の姿で、その箇所から放尿をして見せるということは、恥辱でしかなかった。
尿意が高まっていたことは事実だった、こらえ続けることもできたことだった。
だが、そのようなことをしたところで、いつまで耐え続けられることかは、知れたことだった。
避けられない現実が眼の前にあることは、まったく、変わらないことだった、行うしかないことだったのだ。
そのとき、胸のあたりから腰付きへかけて、柔肌に密着している縄の拘束感を気づかされた、
それへ思いを寄せると、熱く身体を抱き締められているようなその感触は、
独りぼっちで立たされているという孤独の寂寥と悲哀を払いのけさせるものがあるのだった、
尊敬と信頼を寄せる権田孫兵衛から施される縄掛けには及ばないまでも、縄の意味は感じられるのであった。
結ばれ、縛られ、繋がれる、という縄の緊縛に導かれるままに、
思いを向かわせることができると感じられるのだった。
夫人は、羞恥を懸命にこらえた表情を浮かばせながら、おずおずとしゃがみ込んでいった。
翳りの失われた白いなよやかさ、あからさまとなった生々しい割れめから、ちょろちょろとしたしずくがあらわれると、
それは、一気に銀のしずくが優雅な放物線を描くように、手桶のなかへ注がれていった。
わあっ、とても上手、それに、とても綺麗、奥様、お見事だわ、やくざ女たちが異口同音にそう叫ぶと、
居並ぶやくざ衆の方からも、歓声と拍手が湧き起こっているのだった。
床から立ち上がった雅子夫人は、やくざ女たちの用意したちり紙できれいにその箇所を拭ってもらうと、
恥じらいで上気させた美しい顔立ちに初々しささえ漂わせて、一段とした愛らしさを増したように映らせていた。
やくざ女の年上の方が近づいて、にっこりとしながら、その後の段取りを話していた。
貴婦人の優雅なおしっこの後は、三三九度の杯を交わされた奥様ですから、お客様と初夜の床入れをされます、
奥様も、そこで初めて膣へ男性を受け入れるのですから、初夜と呼ばれるのにふさわしいことにしましょう、
奥様は、初々しい花嫁としての女を発揮されて、奥様を手に入れられた旦那様へ精一杯の奉仕をなされて下さい、
実際の旦那様は、奥様の見事な演技につけた最高の評価金額で競り落とした方となりますが、
下稽古では、組頭様がお相手をして下さいます、但し、この場合は、膣ではなく、お尻の方になります、
終わられた後は、そこでしばらくの休息を取って頂いて、本番の準備へ入ることになります、
では、寝所の方へ行きましょう、と引き立てるようにして、夫人を向かわせるのであった。
しっとりと落ち着いた和室の畳へ敷かれた艶めかしい朱色の夜具の上へ、雅子夫人はうつ伏せに横たえられると、
優美な尻が高々と持ち上げられるように、双方の膝を立てさせられ、固定されるようにして縛られた。
行う相手の顔は見えなくても、可憐なすぼまりを見せる菊門は、これ見よがしのあらわとされたのであった。
やくざ女たちが部屋を立ち去っていくと、間もなく、浅黒い精悍な肉体を全裸でさらけ出した男があらわれた。
組頭だという精悍なやくざ男は、あからさまとなった夫人の妖艶な尻をつくづくと眺めてから
愛らしい敏感な小突起へ指を触れて、愛撫を始めるのであったが、どすの利いた声音で語り掛けてもいた。
ここへ連れてこられた女のなかで、奥さんのように、最初から素直に隷属を示す女は初めてだ、
奥さんは、被虐に晒されて喜びを感ずる、マゾヒストとか呼ばれる性癖でもあるのかい、
もっとも、そのような性癖などなくても、ここの色道をやり遂げれば、一人前の女郎になれることに変わりはないがな、
おれは、奥さんを気に入ったよ、その頑張りにはご褒美をあげたいくらいだ、
泣き声を上げるほど、気持ちのよい思いにさせてやるから、これからも、しっかりと頑張ってくれよな、
と言い終わる頃には、愛らしい小突起は、つんと立ち上がらせられていた。
声音をもらすまいと抑えていた夫人だったが、立ち上がらせられた小突起を激しく揉み込まれるようにされると、
ああっ、ああっ、と甘美なうめき声を上げ、滲み出させていた花蜜の潤いまでも豊潤とさせていくのであった。
男の指先は、今度は、花びらを開き切って花蜜をもれ出せている鮮烈な果肉の奥へ沈められて、
鋭くえぐるように、強く掻き出すようされて、激しくうごめかされていったが、
夫人の声音も、ああん、ああん、という、やるせなさそうな、切なそうなものへと変わっていくのだった。
胸から腰付きへ掛けられていた縄の緊縛で高ぶらされた官能は、股間の縄によって燃え上がる準備をされていた、
男の指先は、それを煽り立て、燃え盛るように仕向けていけばよいことだったのである。
指先は、ぐしょぐしょに濡れた淵から花蜜をたっぷりと掬い取ると、可憐にすぼまった菊門へ塗りたくっていた。
それから、しこりがほぐされるように丹念に縁を揉まれていくのであったが、
指先は、菊門の内奥へもぐり込まされたりもしていた。
すでに、<所長>と秘書から、肛門の処女を奪われていた雅子夫人であったが、
男の指は、菊門の愛撫に及んでは、ああっん、ああっん、と夫人を悩ましい声音にまで高まらせているのだった。
もう片方の指先が再び敏感な小突起を弄び始めると、夫人は、優美な尻を淫らに振るようにさえなっていた。
男の赤々と剥き晒して反り上がった矛先がぬめりを帯びて柔らかく開いた菊門へ押し当てられていったことは、
ああっ、いやっ、いやっ、いやあ〜、と雅子夫人に悲鳴を上げさせたことであったが、
ねじり込まされる太くて長い陰茎は、求めていたもののように、ぐいぐいと吸引されていくのであった、
やくざ男は、しっかりと収まったことを腰を振って確かめると、相手の優美な腰付きのくびれを双方から掴んで、
ゆっくりとした抜き差しを始めるのだった、夫人は、柔らかな黒髪を右へ左へと打ち振るい、
ああ〜ん、ああ〜ん、と苦悶とも喜びともつかない涙声を上げ始めていた、
それから、長い時間が掛けられて、夫人が昇りつめそうとなると止められ、また、押し上げられては止められ、
ということが繰り返されていったが、夫人の声音は、激しく泣きじゃくるものとなり、
ついには、いかせて、お願い、いかせて、とうわ言のような陶然となった叫び声を張り上げながら、
淫靡な啼泣のよがり声を上げさせられているのだった、
男は、みずからの思いを遂げるのに合わせて、雅子夫人を喜びの絶頂へと至らせていった。
陰茎が引き抜かれと、やくざ男は、ひと仕事終えたというように、あっさりと寝所を後にしていったが、
しくしくと嗚咽を続ける夫人は、ぐったりとなったまま、涙に濡れた美しい顔立ちを恍惚の浮遊で上気させ、
縄で緊縛された純白の裸身を桜色に染め上げながら、喜びの痙攣で全身を妖艶に打ち震わせているのだった。
ふたりのやくざ女があらわれても、快感の余韻に陥っていた雅子夫人には、まったく上の空のことだった。
優美な尻を高々と上げさせられた緊縛を解かれて、ようやく、目覚めた始めた夫人であったが、
しばらく、お休みなさい、と優しく声を掛けられたことも夢現に、激しい疲労から眠り込んでしまうのだった。
だが、華奢な両肩を揺さぶられるようにして目覚めさせられて、
奥様、いよいよ、本番よ、さあ、お風呂に入って綺麗になりましょう、
と皮肉な笑い顔を浮かべて語り掛ける年上のやくざ女に、夫人は、睡眠を取ったという思いをまるで感じなかった。
もう少し休ませて下さい、と言いたいことではあったが、
そのような言葉が意味を持たないことはわかり切っていたから、はい、と答えるしかないのだった。
やくざ女たちは、納得したようにうなずきながら、奥様は本当に素直ねえ、ただの性の道具で、
まったく人間扱いされていないというのに、どうしたら、そのように素直になれるのかしらねえ、
まさか、まだ、<民族の予定調和>を信じているからなの、そのような馬鹿げたこと、あるわけないわよねえ、
と甘えるような戯れの声音で尋ねていたが、夫人は、顔立ちを俯かせ、まなざしを逸らさせているだけだった。
本番とは、下稽古で行われたことが指導なしで再び繰り返されることであったから、
雅子夫人は、ふたりのやくざ女に添われながら、風呂場へと連れていかれた。
丹念な入浴が終わると、若奥様風の清楚で品のよい髪形に結い上げられ、優雅さを漂わせる綺麗な化粧をされ、
年下のやくざ女から、生まれたままの全裸の純白に輝く柔肌へ、縄の意匠を施されるのであった。
綺麗な乳房から優美な腰付きへかけて、幾つもの菱形の紋様が綾を織り成す縄が掛けられ、
臍から縦に下ろされる縄は、翳りをまったく奪われた生々しい割れめへともぐらされていったが、
その縄には、股間にある三つの敏感な箇所を刺激するための瘤が作られていて、尻の上の腰縄で縄留めがされた。
やくざ女たちは、改めて感心させられたように眺めながら、夫人の柔肌を彩る美麗な緊縛の妖しい美しさは、
何度眺めても、うっとりとさせられるものだから、殿方には、たまらない魅力があるはずです、と誉めそやした。
それから、聾唖の下女によって、緊縛の裸身の上へ瀟洒な着物を着付けられていくのだった。
美しく着飾った雅子夫人は、さすがは華族の奥様であったという、艶麗と優雅と気品を漂わせていた。
しかし、そのような姿にあっても、淫らな奴隷女の身分に変わりはなかったから、後ろ手に縛られるのであった。
その縄尻を取られ、引き立てられるようにされながら、大広間へと向かわされるのであった。
すでに、十人の招待客が料理と酒の置かれた小卓をそれぞれ前にして、雅子夫人の登場を待っていたが、
あらわれた夫人の清楚で美しい品性のある顔立ちと匂い立つ女の色香の艶麗と優雅の着物姿に、
思わず、感嘆のため息をもらしているのだった。
客席より一段高く作られた舞台の上に立たされた夫人の後ろ手に縛られた縄が解かれると、
年上のやくざ女が丁寧な会釈をして、「貴婦人の優雅なおしっこ」を開演させて頂きます、
こちらに立っているのは、正真正銘のさる華族の奥様で、社交界でも有名な方でいられます、
今宵行われる出し物は、よくあるような食わせ者の茶番劇などとは違います、その点をご賞味なさって頂いて、
何卒、高値をお付け下さいますようにお願い申し上げます、と口上が述べられるのだった。
それから、雅子夫人はやくざ女に促されると、客席の方へしずしずと降りていって、
端の客から、畳へ緩やかに膝をついて腰掛けると三つ指をついた丁寧な会釈をし、
小卓にある徳利を取り上げると優美な仕草で差し出されている杯へと注ぎ、呑み終わるのを待ってから、
また、丁寧な会釈をして、となりへと移っていくのであった。
居並ぶ客たちは、そばへ近づかれただけで、官能をくすぐられる甘美な芳香を匂い立たせ、
あたりを明るませるくらいに華麗な麗しさを漂わせる雅子夫人の顔立ちと一挙一動に見とれるばかりであったが、
夫人は、女優顔負けに、指導されていた振舞いを卒なくこなしているのだった。
それでも、立ったり、座ったり、正座の姿勢で腰掛ける度に、股間へ掛けられている三つの縄の瘤がうごめいて、
その掻き立てられる官能の疼きが恥じらいの火照りだけでなく、顔立ちを上気させていたことは事実であった。
酌婦を真似る初々しい様子は、高貴な夫人であることを伺わせるのに充分なものがあったのだ。
本当に気品があって綺麗なおなごだべ、と誰かが言うと、うんだ、うんだ、と誰しもがうなずいているのだった。
その美しい夫人が舞台の方へ戻ると、正面を向いてすっと立ち尽くした。
少しためらいは見せたものの、雅子夫人のほっそりとした白い指先は、帯留めへ掛けられていた。
縄をまとわされた柔肌の圧迫感は、官能を掻き立て、股間へもぐらされている縄は、さらに煽り立て、
女の花蜜のしずくさえもれ出させ始めていたことは、夫人にも感じられ、その気にさせるものがあった。
高ぶらされている官能のままに、思いをそのような淫靡なものとさせて、
脱ぎ去る着物のひとつひとつに思いを込めていけば、媚態をあらわす妖艶な脱衣が自然とできるのだった。
すでに、やくざ女たちからも、やくざ衆からも、良い評価を与えられた演技であったのだから、
精一杯行うことをすれば、豪農の方々にも、充分満足して頂ける媚態をあらわせると思えたことだった。
それ以外に、この場で何が行えると言うの、私は、淫らな奴隷女だと言うのに。
夫人が羞恥でためらうように、悩めるように、華麗な姿態を妖しくうねりくねりとさせながら、
もったいぶらせた様子さえ滲ませて始めた脱衣の様子に、眺めている客たちは、感嘆の眼を見張るのだった。
豪奢な帯が解かれ、瀟洒な着物が肩からすべり落され、艶めかしい長襦袢、柔和な肌襦袢が脱ぎ去られ、
水色の妖艶な湯文字までもが取り去られていくと、徐々にあらわれ始めた潤いに輝く純白の柔肌は、
あたりをいっそう明るませるくらいにまぶしいものとさせていたが、その柔肌へ施されている麻縄の意匠は、
足袋が外されて、生まれたままの全裸をさらけ出させたときには、
妖美な衣装をまとった艶麗な女をあらわとさせているものであったのだ。
綺麗な乳房から優美な腰付きへかけて、幾つもの菱形の紋様が綾を織り成す縄が掛けられ、
臍から縦に下ろされる縄は、翳りをまったく奪われた生々しい割れめへともぐらされている女の緊縛のありさま、
見つめている客たちからは、おおっ、おおっ、凄い、素晴らしい、という歓声とどよめきが湧き上がっていたが、
その夫人が全裸の姿態をなよなよとさせて、見目麗しい姿で客席の方へ降りてくるのであった。
綺麗な羽衣を素肌にまとった美しい天女の降臨である、という連想を抱かせなかったのは、
全裸の縄による緊縛の連想としては、ありきたりのものであったと言うよりは、
その客人のなかには、たまたま、文学を愛好するような人物がいかなったことに過ぎなかったが、
憑かれたように唖然となって眺め続ける豪農の客人には、開きぱなしの口からよだれを垂らしている者もいたのだ。
むんむんと匂い立つ女の媚態を全裸の緊縛姿で発揮させている夫人が間近になってくることは、
すぐにも抱き締めたいと思わせたほど、股間へ反り立たせたものを抑えるのに苦労させたことであったのだ。
腰から繋がった縄尻をやくざ女に取られて、しずしずと客人に添うように正座の姿勢を取っていく貴婦人は、
純白に輝く潤いのある柔肌を眼に染み入るようなものとさせ、
、可憐な乳首をつけた綺麗な乳房から優美なくびれの腰付きへかけて、
幾つもの菱形の紋様が綾を織り成す縄の意匠は、曼荼羅のように眼を眩ませるものとさせ、
愛らしい臍のあたりから縦に下ろされて、羞恥の翳りをまったく奪われた生々しい美麗の割れめへもぐらされている、
股縄の妖美が眩暈を起こさせるものだとしたら、盲目の官能者は、もはや、手で触れて確かめるしかないことだった。
やくざ女が持参している柄の付いた黒の漆塗りの酒器で、客人が片手にしている赤の漆塗りの杯へ酒が注がれ、
三度飲み干すことが行われている間も、もう片方の手は、抜け目なく、夫人の身体へ触れているのであった。
ふたつの乳房や乳首、腰付きのくびれや尻のふくらみ、柔らかな太腿から縄をもぐり込まされた割れめに及んでも、
雅子夫人は、手渡された杯で、丁重に三度飲み干すことを阻喪なく行ったのだった、
相手から、乳首を弄ばれ、乳房を揉まれるままになりながらも、
悩ましそうな流し目をくれて、綺麗な口もとへ微笑みさえ浮かばせる余裕をあらわしたのであった。
そのようにして、十人の客人を相手にして、三三九度の杯を交わし終えた。
漆塗りの小さな酒杯とは言え、日本酒を三十杯飲み干したのであるから、下腹へたまる感触は、
割れめへ埋没するように掛けられている麻縄の三つの瘤の刺激で、いっそう意識させられるものとなるばかりでなく、
酒に酔わされた官能は、ふわっと上気させられた浮遊を持って、尿意を急激に高めているのであった。
足元が少し覚束なさそうに、舞台の上へ戻らされた夫人は、後ろ手に縛り直されると、
縄尻を年下のやくざ女に取られながら、年上のやくざ女から、筋立てになかった演出を聞かされるのだった。
こちらの奥様は、ご覧になられたように、貴婦人でいらっしゃいますから、
おしっこを成されるときも、貴婦人の優雅さで成されます、
でも、それは当然のことで、食わせ者の貴婦人が食わせ物の演技をすることと同じです、
奥様が本当の貴婦人であるのなら、貴婦人の羞恥をかなぐり捨てたおしっこをご覧に入れてこそ、
始めて貴婦人と言えることです、では、早速、それをご覧に入れます、
と言い終えると、割れめへはめ込まれていた縄を外されるのだった。
それから、夫人は、ふたり掛りで床へ仰向けにされると、股間を客席の方へ向けさせられ、
膝から折り曲げさせられたそれぞれの両脚を縄で縛り上げられたのだった。
雅子夫人は、美しい顔立ちを真っ赤にさせ、いやっ、いやっ、とか弱い声音をもらさせていたが、
さらけ出させている全裸というだけで女の羞恥であったのだ、
翳りを奪われた女の小丘をあからさまとさせていることは、さらなる羞恥であったのだ、その上に、
愛らしい女の芽と妖美な花びらと鮮烈な果肉の深遠と可憐な菊門をこれ見よがしとされていることは
恥辱以外の何物でもなかった、さらに、その全裸の姿で、その箇所から、
大勢の見ている前で、放尿のありさまを見せるということは。
夫人は、思い余って、すすり泣きを始めていた。
豪農の客たちが乗り出すようにして見つめているように、
みずからのくっきりとなった股間の箇所へ、その場にいるすべての者の熱くただれた視線が注がれているのだった。
高ぶらされた官能で滲ませた女の花蜜が花びらを淫靡に濡らせている。
こらえる尿意から、可憐なすぼまりを見せる菊門が息づくような収縮をあらわとさせている。
愛らしい敏感な小突起も立ち上がっていることがあからさまだった。
尿意が高まっていたのだ、こらえ続けることができないほど、抑制の効かない官能であったのだ。
避けられない現実が眼の前にあること以外、なかったのだった。
そのとき、全裸を屈伸させられて、柔肌に密着させられている縄の拘束感を気づかされた、
それへ思いを寄せると、熱く身体を抱き締められているようなその感触は、
独りぼっちで置かれているという孤独の寂寥と悲哀を払いのけさせるものがあった、
尊敬と信頼を寄せる権田孫兵衛から施される縄掛けには到底及ばないまでも、縄の意味が感じられたのだ。
縄による緊縛には、確かな意味があるのだった、
結ばれ、縛られ、繋がれる、という思いに導かれるままに、
みずからの思いを向かわせることができると感じられることだったのだ。
夫人は、羞恥を懸命にこらえた表情を浮かばせながら、折り曲げさせられた双方の両脚をぶるっと震わせると、
あからさまとなった生々しい割れめから、一気に銀のしずくを高々と吹き上げさせていた。
それは、ひと筋の繊細で華麗な聖水である、と感じた者がいたかどうかは、
文学を愛好するような人物がいかなったとすれば難しいことだったが、
英国のさる性科学者でもいれば、そのように言ったかも知れない女の放尿であった。
見つめ続けていた豪農の客たちは、女の股間の生々しい妖艶が吹き上げさせた妖美に圧倒されたように、
言葉にならない代わりに、異口同音に野獣のような唸り声をもらして、賞賛をあらわしているのだった。
雅子夫人は、しなやかな両脚の緊縛を解かれ、裸身を床へ起こされていたが、
愕然となってしまった放心の表情を美しい顔立ちに浮かべているだけで、
やくざ女たちの用意したちり紙できれいにその箇所を拭ってもらっている間も、ただ、されるがままだった。
客席の方では、やくざ衆がふたりあらわれて、夫人を入札するための紙と鉛筆を客人へ配っていた。
ふたりのやくざ女は、左右から雅子夫人を支えるようにして、寝所の方へと連れていくのだった。
夫人は、寝所にある床の間の前へ、きちんとした正座の姿勢で座らせられると、縄尻を床柱へ繋がれて、
目も綾な菱形の織り成された緊縛の花嫁衣装をまとった女として、初夜の相手をひとり待たされるのであった。
やがて、夫人の見事な演技につけた最高の評価金額で競り落とした豪農の客人があらわれたが、
身にまとう一切ないその身体付きは、背丈は夫人よりも遥かに低く、
酒でしたたか酔っているせいもあったが、赤い鬼瓦と言えるような顔付きは、恐ろしいくらいの雰囲気があって、
何よりも、その風采に比べてさえも、異様に小さかった陰茎は不気味を感じさせるのだった。
顔立ちを俯かせていた雅子夫人は、覗き込むようにして、まじまじと見つめる相手を知って、
三三九度の杯を交わしてまわったとき、最も印象の悪かった客であったことを思い出させられるのだった。
鬼瓦の顔付きでじっと見つめられながら、割れめ深くへ掛けられていた縄を力任せに引っ張り上げられたのだ、
そして、苦痛に歪む顔立ちをせせら笑うようにして、眺め続けた男性だった。
いま、その鬼瓦は、夫人の形よい顎を荒れた手先で捉えると、無理やり、みずからの股間の方へと向けさせていた。
おまえも、これを見て、おれをあざ笑っているのだろう、女ばかりではない、
男にだって、小さいときから馬鹿にされてきたのだから、おまえも、おれを馬鹿にしているはずだ、
ましてや、おまえは高貴な華族の奥様なのだろう、おまえの漂わせる雰囲気でそれが事実だと分かる、
だが、どういう事情があったにせよ、どうせ、金にまつわることでそのように落ちぶれたことに違いないが、
おまえは、おれに一夜買われた女に過ぎない、おまえがおれのことをどのように思ったとしても、
おまえは金でどうにでもなる女でしかないのだ、それを心底思い知るんだな、
おれがおまえを買った主人ということだ、と吐き捨てるように言うのだった。
それから、腰をせり出させると、僅かにしかもたげていない陰茎を夫人の美しい唇の前へ差し出すのだった。
さあ、舐めてみろ、とばかりに、さらに突き出させたのであったが、
夫人の綺麗な形の唇は、ためらいもなく、優しくそれに触れるとすっぽりと含み込んでいったのだった。
驚いたのは赤い鬼瓦の方だった、これまで、嫌がる女に無理やり頬張らせてきた行為であった。
無理やり行わせることが男としての自尊心を優位に立たせる思いから、そうして行ってきたことだった。
だが、眼の前の清楚で美しく気品のある女は、怒鳴りつけてやらせるようなことをしなくても、
含み込んだ陰茎を甘美な感触の舌先で舐めまわすことを始めているのであった。
それは、相手のことを愛している女であれば、きっとそのようしてくれるに違いないと思わせるほど、
優しさと思いの込められた口中の愛撫として感じられたことは、
もたげることに時間の掛かる一物が激しく反り上がっていることにあらわされているのだった。
まるで、女から馬鹿にされているようにさえ思わせるほどの官能の高ぶりであって、
赤い鬼瓦は、もう、いいっ、と言うと苛立った素振りで、口中から引き抜いているのだった。
その調子で続けられていったら放出させられてしまうことは確実だ、と感じられたことだったのだ。
雅子夫人は、突然のことに、びっくりしたように瞳を大きく見開いて、相手を見上げるばかりであった。
そのようなへたくそな愛撫では、少しも感じないぞ、馬鹿にするな、と鬼瓦に言い捨てられると、
夫人のまなざしは、赤々と見事に反り上がった陰茎へ注がれていながらも、
憂愁をおびたその表情は、みずからの至らなさを悔いているという感じの漂うものがあるのだった。
赤い鬼瓦には、そのような女の愛らしさが愛しさを抱かせることであるよりも、
女の見せ掛けだけの愛らしさであって、心の底では、あざ笑われているとしか思えないことだった。
皮を剥かされ、赤々となって反り立たせられた陰茎が眼の前にあっても、情けないものでしかなかったのだ。
床柱へ繋いでいた縄尻を取ると、鬼瓦は、相手を引き立てるようにして立たせた。
それから、華奢な肩先を激しく小突いて、しっとりと落ち着いた風情のある次の間まで歩かせ、
そこへ敷かれた艶めかしい朱色の夜具の上へ立たせるのだった。
天井からは滑車が降りていて、鬼瓦は、そこへ縄尻を掛けると夫人の裸身を吊し上げるように固定していった。
押入れが開けられ、淫猥な形をした責め具の数々が仕舞われているありさまが露骨となったが、
赤い鬼瓦が手にしたのは、ひと振りの木刀だった。
おまえがどれほどの女か、試してやる、おれが言ったことができなかったら、
おまえは、一夜買う女に値しない食わせ者だと言って、金を返してもらうからな、
と吐き捨てると、木刀の切っ先を夫人の顔立ちの前へ突き付けるのだった。
そして、おもむろに、菱形の縄の文様でせり出すようにされた綺麗な乳房のひとつへねじ込んだのだった。
ああっ、痛いっ、と雅子夫人は、顔立ちをしかめて、緊縛の裸身を逃れるようにくねらせた。
鬼瓦は、さらに、もうひとつの乳房の方にも、乳首めがけて切っ先をねじ込んでいったが、
夫人は、ああっ、ああっ、痛いっ、痛いっ、と言いながら、身体を逃れさせようとするのだったが、
天井から降りた滑車へ繋がれた身の上は、容易には逃れさせないものだった。
そこで、木刀の切っ先が羞恥の翳りを奪われて鮮やかな割れめをさらけ出している女の小丘へ向けられていっても、
ふっくらとした柔和がぐりぐりと蹂躙されても、眉根を寄せ、唇を噛み締めて、こらえるしかなかったのだった。
ざまを見ろ、おまえは、西洋の優れた先端科学を知っているか、
そこには、男は女を性的に虐待して喜びを感ずるサディストという性格が強く、、
女は男から性的に虐待されて喜びを感ずるマゾヒストという性格が強いものであると示されている。
いま、おまえがそうしておれから虐待を受けていることこそ、人間の男女間の自然な姿であるということだ。
おれの股間を見てみろ、おまえを虐待することで、このように反り立っているのがその科学のあかしだ。
おまえだって、おれに虐待されることで、女としての本当の喜びを感ずることなのだ。
おまえは、西洋の優れた先端科学がまやかしではないという証拠をおれに示して見せるのだ。
それができなければ、おまえは女でもくずだから、金を払うには値しないということだ、
さあ、両脚を開いて、この木刀を股間へ挟み込め、そして、おまえは、おれに虐待されている幸せだけを考えろ、
そうすれば、おまえは、その挟み込んだ木刀から女の花蜜をしたたり落とさせるほど、喜びを感じるはずだ、
それができないとしたら、おまえは、西洋の先端科学に遥かに劣る、後進国の因習の女に過ぎないのだ、
どうだ、おれの科学知識は大したものだろう、田舎者だと思って、馬鹿にするな!
赤い鬼瓦は、その赤い顔をますます赤くさせて、
木刀の切っ先を生々しい割れめの奥へもぐり込ませようとするのであったが、
雅子夫人は、言われるがままに、しなやかな両脚をおずおずと開いて、受け入れていくのであった。
純白の艶かしい太腿が女の割れめへ食い込まされた木刀を左右からしっかりと挟み込んだのだった。
双方の太腿へ気を抜いたら、木刀が落ちてしまうことは明白だった。
だが、愛らしい女の芽と妖美な花びらと鮮烈な果肉と可憐な菊門へ触れるだけの刺激を受けさせられていても、
それだけで、官能はさらに高ぶらされるものとなるか、夫人には理解できないことだった。
眉根を寄せ、まなざしを一点へ集中させながら、綺麗な唇を真一文字とさせて、
困惑している表情の夫人の顔立ちを、鬼瓦は、せせら笑うようにして見つめているのだった。
天井の滑車から繋がれた緊縛の全裸は、じっとなったまま、身動きをあらわすことはなかった。
夫人は、泣き出さんばかりに懸命に試みていたのであったが、木刀を落とさせないことが精一杯だったのだ。
赤い鬼瓦には、その様子がありありと見て取れていた、そして、あざ笑うような哄笑を爆発させていた。
あっ、はっ、はっ、はっ、ざまを見ろ、おまえには、おれが必要なのだ、それは、おれがおまえの主人だからだ、
おまえは、おれがいるからこそ、おれにこよなく虐待されるからこそ、喜びがあるのだ、それを思い知れ、
と言うと、夫人の縄で突き出された乳房へむしゃぶりついていった。
それと同時に、片方の手は木刀の柄を掴んで、激しく股間へ突き上げることを始めているのだった。
ああっ、ああっ、ああっ、雅子夫人は、緊縛された裸身を妖しく身悶えさせて、甘美な声音を上げさせられていた。
鬼瓦の口は、乳首を頬張り、舐め、吸い上げ、噛むを繰り返していたが、ふたつの乳房へされる愛撫の律動は、
握り締めた木刀にも、激しく突き上げるばかりでなく、右にねじり、左にうねる刺激をもたらしているのだった。
ああっ〜ん、ああっ〜ん、ああっ〜ん。
高ぶらされる官能は、夫人の甘い声音をますます悩ましいものとさせていったが、
優美なくびれをあらわす腰付きがくねらされ、しなやかで美麗な両脚がよじられると、
女の花蜜のきらめくしずくが深い切れ込みの箇所から、じわっとあらわれ始めるのだった。
ああっん、ああっん、ああっん、とやるせない泣き声に変わっていくのに合わせては、
赤い鬼瓦の握り締める木刀の手元まで流れ出してくるのであった。
それに気がつくと、鬼瓦は、夫人から離れていった、
美しい驚嘆を眺めるかのように仁王立ちになって、
挟み込んだ股間が優美な尻の方へ傾斜させた木刀の切っ先へしたたり落ちる、
麗しい銀のしずくを見つめているのだった。
まさに、男が言ったようになったのだった。
ざまをみろ、科学は因習などよりも遥かに優れているということだ、
と鬼の首を取ったように意気を上げて、相手の美しい顔立ちを両手で押さえてみずからの方へ向けさせると、
唇を重ね合わさせ舌先を差し入れるのだったが、夫人は、官能に舞い上げられているように、されるがままだった。
男の舌先が女の舌先と絡められ、思いの込められた愛撫が執拗に続けられて唇が離されたとき、男は言った、
おれのものが欲しいんだろう、差し入れて欲しいのなら、はっきりとそう言え、おれはおまえの主人だ。
雅子夫人が拒絶を示したところで、足元へ敷かれた艶かしい夜具へ押し倒されて、
無理やりにでも、膣へ挿入されることは分かり切ったことだった、
それが、調教師様の筋立てた<予定調和>実現の色道を歩まされる雅子夫人の身の上であったからだ。
ほかに仕方のない夫人には、入れて下さい、と返事をする以外になかったことだった、
そのようにしなければ、生き続けるということはできなかったのだ。
返事をしかけた、そのときである。
突然、大地を揺るがす、ひゅう〜、どか〜ん、という爆発音と共に、炎が上がったのである。
赤い鬼瓦は、みずからの顔付きなどとは比べ物にならない、真っ赤な炎がめらめらと燃え上がるのを前にして、
何事が起こったのかと仰天のまなざしを見開いて、全裸をがたがたと震わせていた。
凄まじい怒号と悲鳴が火の勢いにも増して、あちらこちらで聞こえていた。
そのままいたら、部屋の方々へ上がった火の手に呑み込まれてしまうのは、歴然としていた。
鬼瓦は、叫び声を上げながら、寝所を逃げ出していた。
艶かしい朱色の夜具の敷かれた寝所には、天井から降りた滑車へ、生まれたままの全裸に縄の意匠を施され、
後ろ手に縛られて繋がれたままの雅子ひとりが取り残された。
あちらこちらから迫り来る炎を前にして、逃れる術を完全に奪われていた女には、
眼の前の現実に、成されるがままに、従うほかなかったことだった。
何が起こったのであるかと言えば、
米国軍の爆撃機の大編隊が帝都東京へ焼夷弾の雨を降らせた東京大空襲の始まりであった。
原子爆弾まで作り出すという西洋科学の最先端技術による破壊の実施検証が行われたのである。
昭和二十年(一九四五年)三月十日未明、東京下町地区を中心として、 約三百機の
B29が飛来した、
夜間の超低空からの焼夷弾による絨緞爆撃は、死者、十万人、焼失家屋、二十七万戸、
下町一帯を焦土の地獄と化したが、<淫靡屋敷>も燃え上がったということである。
雅子は、どんどんと燃え上がる炎を見て、
屋敷内から聞こえて来る阿鼻叫喚、断末魔の叫びを耳にしていたが、
そのありさまでは、どうしようもないことであった。
縄に繋がれた裸身をじっとさせながら、思いをひとつにしようとしているだけだった。
いま、このように、自然の植物繊維から撚られた麻縄で、
生まれたままの全裸を緊縛されている姿があらわしていること、
それは、私の存在理由、<民族の予定調和>の表象としての女性であること、
私は、<民族の予定調和>の実現のために、生き続ける女でしかなかったということ、それが私だった、
紅蓮の炎がますます燃え盛り、間近に死が近づいていることは、恐怖を感じさせる、
だが、それ以上に、縄で縛り上げられた肉体は、人間の官能は、生き続けることの喜びを激しく感じさせるのだ、
もっと生き続けたい、だが、それがかなえられないことだとしても、
<民族の予定調和>は、絶対に実現できることだと思えることだ、
いま、私にある想像力は、私を必要としている人々のために生きることを祈祷させる、
官能の絶頂の喜びは、死をも超越する想像力へと飛翔させるものであるからだ、
雅子は、両眼を閉じて、我が身が焼き尽くされるのを引き受けようとしていた。
死を前にして、眼の前へ立っている人物が権田孫兵衛でなかったことは、雅子を驚かせていた。
雅子がまぶたをしっかりと上げると、そこには、年上と年下のやくざ女が立っていたのだ。
ふたりが生まれたままの全裸の姿で立っているのだった。
「雅子様、あなたが亡くなられるのなら、どうか、私たちも、お供させて下さい。
私たちの犯してきた罪悪は、あなたを信じることで、少しでも償いのあるものとさせて下さい。
あなたは、この屋敷へいらっしゃって、<民族の予定調和>という、誰も言われなかった事柄を話された、
あなたは、この屋敷へいらっしゃって、誰ももたらさなかった、最後の審判のような大空襲を招来された、
あなたは尋常でない女性であると私たちは思います、それで、ここへ来ました、
もはや、生きて逃げられる道はありません、
どうか、おそばに置いて、雅子様の行かれるところへ私たちを連れていって下さい、お願いします」
ふたりの女は、唱和してそのように言い終わると、
素早く、雅子を天井から繋いでいた縄を解き、後ろ手に縛っていた身体を自由にするのだった。
それから、雅子へすがりつくように、身を寄せていた。
「ありがとう、雅子は、あなた方に助けられました、
今度は、私があなた方を救う番です、この屋敷を出ましょう、
そして、<民族の予定調和>を求めている方々のために、私たちは、伝導へ向かうのです」
雅子は、言い終わると、左右の手でそれぞれの女性の手をつかんで歩き出していた。
胸から腰付きへ掛けられた縄で緊縛された全裸の女がふたりの全裸の女を従えて、
寝所を出て行こうとしていた、<淫靡屋敷>を出ていこうとしているのだった。
向かう方角には、幾つもの焼け焦げた死体が転がっていた、赤い鬼瓦も転がっていた、
精悍な組頭も転がっていた、<所長>のでっぷりとした死体も転がっていた、
生きて屋敷に残っている者はなかったのだ。
燃え盛る紅蓮の炎は、すでに、屋敷全体へ及んでいたのだ。
三人の脱出など、不可能なことであったのだ。
だが、手を繋ぎあった生まれたままの優美な全裸の女性たちが向かうところ、
立ち塞がる恐ろしい火柱は、紅蓮の壮麗な門柱のようになって、道を開いていったのである。
女性たちは、ただ、そこを通り抜ければよかった。
<民族の予定調和>は、超越した神を前提としたものではないから、
このありさまを奇跡と呼ぶことはない、
ただ、美しい花にも変異がある、ということが示されただけのことだった。


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